死神の帰る場所
本編
失恋未満02

どんな人なのよ、と尋ねる従兄弟に、心の中に仕舞い込んだ大切なものを取り出すように答えていく。

「まだ若くてね」

「あら、いくつ」

「23」

「……また随分年下。頑張るじゃない」

少し目を見開く従兄弟に笑う。

「あんまり年下っぽくないから」

「へえ」

「無口で、無表情で、可愛いの」

「やだ、にまにまして、キモチワルイ」

「だって、可愛いんだもん」

えへへと笑うと、ゴチソウサマ、と従兄弟が優しく微笑んだ。

ああ、いい奴だ。
お前がいてくれて、本当に良かった。

「色が白くて、もの凄く細くて、綺麗なの」

「うん」

「背が高くて、姿勢が悪くて、人相も悪くて」

「あらまあ」

「いつの間にか好きになってた」

「……そう」

良かったね、と言われて、今度は私が目を見開く。

「何で?」

「だって、幸せそうだもの」

……そうかな?
あまり、今の状況は幸せではないようにも思うけど。


あー。

うん。
でもそうだね。

「久しぶりに恋したかな」


自分で言っててちょっと照れてしまう。

照れ隠しに、下を向いてグラスに口をつける。
ぽんぽん、と頭に置かれた手が心を擽る。

なんて居心地がいいんだろう。

「あ、でね、げん……ママに指南を受けようと思ってきたんだよね」

悪戯っぽく視線を送れば、オカマのウインクが投げつけられた。

「高いわよっ」

「……成功報酬で」

「じゃあ、ゆっくり何が良いか考えておくわ」

にまり、と恐ろしい笑顔を浮かべる従兄弟に、ふと眉が下がった。

「どうかした?」

「うん」

うまくいくなんて、とても思えなくて。

なんて言ったら、この従兄弟は私の頭を思い切りはたくんだろうな。
何せ、良い奴なんだもの。


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