死神の帰る場所
本編
あばたもえくぼ01

死神のような彼の顔。
男前だと思う、意外と。

モテるのだろう。
彼の地位が目的の人もいるのだろうけど、彼自身の魅力に惹かれている人がいないはずがない。

帰宅した彼の移り香に心を抉られながら、やっぱり好きなんだな、と自分の心を再確認している。
そして、日替わりの移り香に、特定の相手はいないらしいと安堵する。


白い顔の額は秀でて、すっと通った鼻筋は端正だ。
男にしてはシャープな顎。
骨太な私と違って、骨格から細身なんだ。
180を越す長身に対してアンバランスな腰の細さや、体の薄さは、風で折れてしまうんじゃないかと不安になる。
女性のように細いのに、柔らかい脂肪も付いていない体は、とても脆そうだけど。

脱いだら凄いんです。

なんてね。
その体にはきちんと筋肉がついている。

彼は惜しげもなく素肌を晒す。
彼の家なのだから、寛ぐのは当然だし、同性同士なのだから、恥ずかしがる方がおかしいのかもしれない。
それでも、直視するのは躊躇われて、どうも挙動不審になってしまう。
特にね、下半身は。
下半身はね。

銭湯や温泉で、野郎の裸なんて散々スルーしてきたけれど。

今思えば初めから意識してたのかなぁ。

彼が脱ぎ散らかしたのにギクリとしたんだよね。
思わず声を上げてしまったもの。


彼の四肢は長い。
こんなオジサンがすっぽりと収まってしまうくらいに長い。
包容力ってのは、男の魅力の一つだろう。

無口なのも、良い。
お喋りなんかより、よっぽど。
ポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ様子は実直そうな印象を受ける。
私なんかの言葉にだって、ちゃんと答えてくれるし。
素直に受け入れてくれたり、逆に聞かないふりをしたり、子供っぽくて微笑ましい。

食べ物の好き嫌いも子供っぽい。
実はアイスが好きだったり。
辛いモノは苦手だったり。


最近は、少し目つきも和らいできたような気がするんだよね。
掘りが深く、肉付きが悪い所為で窪んでで見える目に、濃いクマ、重く垂れた瞼が、凶悪な人相の原因なんだ。

そのクマがね、少し良くなった気がする。


表情はあまり豊かではないけれど、よく見ていれば僅かに変化することがあって、それに気付けたときはとても嬉しい。



星野治仁クン。
盲目的だと、自分でも笑えてしまうけど。

私は君がこんなにも好きらしい。
どうしようか。


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