collar
ピンクと赤
03

普通の舌ではできない愛撫は的確に快感を与える。
微かに赤みがかったクリアなゲルに包まれる真っ赤な舌は、まるで金魚のように愛らしい。

「んっ、んあ……」

ひくひくと体を揺らす#3が、鼻に抜けるような声をあげた。
目の縁を赤く染める少年からは、確かに色欲の香りが立ち上っている。

その気にあてられて、#7の欲望がどくんと脈打つ。
もともと快楽に従順な性質を自覚している#7にとっては、この状態のオアズケは目の毒だ。


もともとは冗談だった。
散髪のお礼にほっぺにキスをしてもらったのだ。
次は口に。
そして深い口づけに。
何をお願いしても断らない#3にイタズラ心が働いて次第に要求がエスカレートしてしまった。


そろそろマズいかしらね、と厳つい褐色の顔を思い浮かべて#7は思う。
#9と#3の仲を割って入ろうなんて気はサラサラない。
ただ、お気に入りの子と、楽しく気持ちよくなるのが好きなだけだ。

ちゅぽり。

名残惜しそうな水音がして、#3の舌が解放された。
反動でヨタヨタする細いからだを支えて、口の端から垂れた唾液を指でぬぐい取ってやる。

その指についた唾液を思わず舐めとると、気づいた#3の顔が真っ赤に染まった。
のぞき込むとばっちり目が合う。

「あら、まっかっか」

「んーの……へんたいっ」

#7の腕の中から、#3がひらりと逃れた。
そのまま出入り口まで逃げた#3が振り返って、まだ赤い顔で#7を睨む。

「バカ! でもありがとう」

「あ、ちょっと……」

早口に言い捨てた#3はあっという間に扉のむこうに姿を消してしまった。


#3の言葉に思わず笑いをもらして、#7は出入り口に向けて伸ばした手をパタリと落とした。

「んー……、さてと。どうしようかしら、コレ」

スラックスの前を摘んでのぞき込む。
元気に跳ねる分身を確認しながらペロリと唇を舐めた。


腕に残る#3の体温に覚えた寂しさに気づかない振りをして、#7は出入り口へ向かう。
こんな朝からでも欲を満たしてくれるだろう相手の顔を思い浮かべると、その派手な顔にいやらしい笑みを浮かべて。



 ◇  ◇



#9「あ、髪の毛」

#3「うん、切ってもらった」

#9「そうカ……(なでなで)」

#3「えっへへー」

#9「……さっぱりして良かったナ」

#3「うん!」

 

 ◇  ◇



具体的に何があったかまでは分からなくても、#3の様子に悟ってしまう#9。
#7と直接対決は温厚な#9の望むことではありません。
2012年11月拍手SS


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