「
collar」
ピンクと赤
02
「さ〜て、お客様、いかがでしょうか」
#3を包んでいた布を外してばさりと振って#7が歌うように言う。
ただの布が優雅に翻りドレープを浮かび上がらせる様は映画のワンシーンのように美しい。
#3は鏡も見ずに、少し高い椅子からぴょこんと飛び降りた。
後ろ向きに出入り口に向かいながら、#7に笑顔を向ける。
「ありがとっ! さすが#7だよな!!」
にこにこと満面の笑みを浮かべながらもじりじりと後退していく#3に、#7は形の良い眉を跳ね上げる。
にんまりと唇の端を上げると、怪しげな赤い弧が描かれた。
「あらやだ、お礼もせずに行っちゃうの?」
「んっ! だから、ありがとうって・・・」
大またで近づく#7に、#3が力のない声で答える。
ぴくりと体を震わせるのに内心苦笑を浮かべるが、怪しく微笑みながら#3の腕をやんわりと掴む。
「ほら、お礼。頂戴?」
細く締まった両方の腕に手を置いて近くから見下ろすと、#3は頬を赤らめて#7を睨みつけた。
「……とどかない」
思わず、ふっと息が漏れる。
何を言うかと思えば、なんて素直で可愛らしいんだろう。
「これでいい?」
立膝になれば、#3の顔が#7の顔より少し上になった。
こくりと頷いた、#3がゆっくりと近づいていく。
ちゅっと音がして、触れ合った唇が一瞬で離れていった。
すんと鼻を鳴らした#7が口を尖らせる。
「えー? もっとちゃんとしなきゃ嫌よ」
「だって、口がぺたぺたするからヤダもん」
「あら、グロス……」
いーっと歯を見せた#3の言葉に、ふと考え込んだ#7が楽しげに瞳を揺らした。
「それじゃね、べーってして?」
「べー?」
「そうそう、そのままね」
不思議そうに舌を出した#3に、#7がウインクする。
微かに首を傾げた#3の小さな口から覗く薄い舌は、はっとするほど赤い。
ちらちらと誘うように揺れるその舌に、#7は自らの舌を突き出して絡めた。
ぴちゃりと水音がして互いの舌が絡まると、#7の腹の奥に何ともいえない快感がじんわりと広がる。
「……!」
中空でぬるりとした粘膜同士が絡み合う、その卑猥さに驚いた#3が舌を引っ込めようとした。
だが、それより一瞬早く#7の舌がスライム状に変態して小さな舌を捕らえる。
「あー! あがぁー!」
#3が抗議の声を上げるが舌を拘束された状態では言葉にならない。
何を言っているのかわからないのを良いことに、#7は#3の舌を愛撫し続けた。