童話体験
おやゆび姫
蛙C

と、呆気なく、舌は抜き取られた。
「……ふ、ぁ……」
トードに腰を支えられたまま、くったりと脱力してハスの葉に顔を押しつける。
与えられた刺激は、雷の体の中で熱に変換されて留まっている。
冷たい葉の感触に対比して感じられる自らの熱が恥ずかしい。
「どうやら、まだ綺麗な体のようだね」
「……ぁ……?」
雷をハスの葉に横たわらせながら、トードがのそりとのぞき込んできた。
睨むように見上げると、トードの喉が音を立てて大きく上下した。
長い舌がぺろりと赤い唇を舐める。
その舌が、先程まで自分を苛んでいたのだと思い至り、雷の鼓動が更に速くなった。

「残念だね。キズモノならば、私の妾にしたものを。正直、息子にやるのは惜しいがな。」

溜息をつきながら、ぎらぎらと目をむくトードから目をそらす。
改めて発せられた言葉に、その意味を理解してしまった雷は、鼓動を更に早まらせた。

すっと頬が撫でられる。
体の中に溜まった熱が、そこに集中するような気がする。
「待っていたまえ、息子を連れて来るとしよう。このままでは私の理性が持たないからな」
くっくっと喉を鳴らしながら不吉な言葉を口にするトードに、雷は身を固まらせる。
ぼちゃりと言う音とともにハスの葉が一段と揺れ、トードの気配が水面下に消えた。

荒い息をつきながら、黒い波紋が再び静かな幕になるのを、呆然と眺めていた。

トードに触れられた皮膚がじんじんと痺れているような気がする。
のろのろと頭をもたげて見ると、胸からわき腹に微かに赤みが差している。
トードの皮膚の湿った感触を思い出して、嫌悪感に身震いをした。

くそっ、きたねえ……。

むずむずと、先程から違和感を訴える下半身に手を伸ばす。
鏡でもなければ見られない部分に、そろそろと指を這わせた。
蕾の周辺に近づくと、指先にぬるりとした感触が伝わった。
「っあ!?」
慌てて、指先を引く。
目の前に持ってくると、指がてらてらと濡れたいた。

「なッ……!!」

羞恥に雷は言葉を詰まらせた。
付着した物をハスの葉に擦りつける。
先程、自らに起こった事が今更ながらとんでもない事だと気付く。
冷たいハスの葉に顔を押しつけて、なんとか冷静を保とうと努める。

荒い息と鼓動を押さえ込もうと、身を縮めて肩を抱いた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -