会長性徒会

02

精神的なダメージは見えない分、厄介です。
いくら会長と言えども、仕事に支障をきたしかねません。
会長職を全うしていただく為のサポートも私たちの大切な仕事ですから。

すらすらと唱える副会長の言葉をBGMに、会計の紅茶と補佐たちの菓子を嗜む。
いつもながら、素晴らしい味だ。

プライベートへの気遣いなど要らぬ世話だが、まあ、この紅茶と菓子にありつけるならば悪くはない。


そう思っていたのだが。


「でねえ、皆でカイチョーを慰めてあげよ〜って」

「ん?」

「皆、会長思いのメンバーですから」

「? ああ……」

「「僕たちの会長だもんね」」

「うん?」

「……(こくこく)」

「……?」

くらり、と眩暈がした。
座っているのに、体を真っ直ぐに保てなくなり隣に座る書記に支えられる。

「……しゅまない。ん? ……あんだ? おかひい……」

口がうまく回らない。
メンバーの顔を見回すと、全員が笑顔を浮かべて俺を見つめていた。
何故だか背筋に冷たい汗が流れる。

「「僕たちは二つの赤い果実ね」」

「フェラテクなら任せて〜」

「会長のいやらしいお顔は全て記憶します」

「……じゃんけん……かった……から……」

にじり寄るメンバーから本能的に逃れようと思うのに、指一本動かせない体に恐怖を募らせる。

「大丈夫ですよ、会長。皆で優しくしますから」

お前の笑顔が一番怖いんだ。

普段なら、絶対口には出さない言葉だが、今は出したくても出せない。
見たくもない顔から目線を逸らす事すら恐ろしくて、副会長の整った顔をじっと見つめた。
その顔がゆっくりと近づいてくる。

「ふふ、涙目になられて、可愛いらしい」

ちゅっと唇に柔らかいものが触れた。
キスされたということ位は分かっているが、頭が処理できない。

何が起こっているんだ?


「大丈夫、失恋なんて、あっという間に忘れてしまいますよ」


いやいやいや、失恋とか、意味わかんないし、今、既ににそれどころじゃねえよ?


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