中庭にしゃがみ込んでいると誰かが隣に来た気配がした。
きっとこんな日には、
こんな時には、
こんな私には、


「こんなトコで何しとるん?」


優しい忍足が助けてきてくれたに違いないのだ。
花壇の花は委員会の人たちの手だけじゃなくて業者も手伝っているもんだから恐ろしいほど出来上がっている。
ぴしっ、と並んで咲く花を見て、どのあたりがオンリーワンなのかを疑った。

いつだったか、忍足は優しいね、と言おうとしたコトがあった。
だけど止めた。
素直に本当のコトを言ったら、忍足が「せやで」なんて言って消えてしまいそうだったから。
この花壇の前で独りぼっちは寂しすぎる。
忍足がいなくなってしまうなんて、耐えきれる気がしないのだ。


「忍足ぃ、」

「なんや」


本当のコトなんて言ってやらない。
だから、だからさ、


「泣いてもいいの?」


ずっとここにいてくれよ、


「泣かんでもえぇで」


優しすぎる親友よ。








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