屋上のドアがいきなり開かないとも限らない。
その癖、キスを止める気はさらさらないから質が悪い。

「に、お…っ!」
「黙って」

呼吸ができないくらいのキス。
二酸化炭素しかない体は辛くなってくる。
うぅっ、と息苦しさを訴えると一瞬だけ空白。

学校ですよ、と言いながらさして抵抗もしない私も悪い。





きーんこーんかーんこーん、と間抜けなチャイム。余鈴が鳴った。
リップだか、唾液だか分からないけれど、空気に触れた唇が寒い。
拭うものなんだかな、と思いつつ仁王を見ると、ぺろりと唇を舐めていた。不味くないのかな。
それを、じっと見ていると何故だか離れたくなくなった。

「余鈴なったなり」
「うん」
「…どうした?」
「うん、」

あのね、もうちょっとこうしてようよ。

仁王の目が見開かれる。
珍しいコトでしょうよ。いつもだったら、私の方が先に教室に戻ろうとするのに。
でも、今日はそんな気分だったのだ。

ただ、思ってるのと、口に出すのは話が違う。
音になった言葉は自分の耳に入り、今度は脳みそで理解した。
とっても恥ずかしいコトを口走った。
それが分かると、その場にじっと座ってるなんて無理で未だこちらを見る仁王の視線から逃げるように立ち上がった。顔、アツイ。

「な、なーんて!ウソウソ!早く授業に、」
「いればいいじゃろ」

コンクリートの上にべたりと座り込んだ仁王がそう言った。
一瞬間が空く。
ゆっくりと振り向くと、丁度仁王が携帯の電源を落として適当に遠くのコンクリの上に投げているところだった。
からんからんからん、なんて携帯が転がる。
ばちり、と仁王と目があった。

「おいで」

その言葉に飛び付くみたいに掛けよって、余鈴前みたいにキスをした。





甘えた











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