「ぴよーっ」
無表情の癖に可愛らしい鳴き声を吐いて、仁王雅治はぷわぷわとシャボン玉を空中に送った。
「学校来なよ」
「やーじゃ」
ぷわぷわと浮かぶシャボン玉の1つに手を伸ばすと、触れるか触れないか微妙な距離で割れた。
本気で嫌がっている訳じゃないコトは分かってる。無表情だけど。
お腹痛いから今日休むーなんて言う小学生とおんなじだ。
「駄々こねてないで」
「お腹痛いなりー」
既出。
すぱん、と頭に平手を食らわせると今度は頭が痛いなりー。小学生め。
「みんな心配してるよ」
「ぷりっ」
青学に負けて、引退まであとちょっとって時に。
唐突に仁王が学校に来なくなった。
当然のようにみんなが心配するから見にきてみれば。
まるで幼児退行。
部屋の中でシャボン玉しない!って怒られなかったのかい君は。
前にみんなで押しかけた時とは様子の変わった部屋にびっくりしながら仁王の傍に座りはじめた。
「名前もずっとここにおればえぇよ」
「無理言うなって」
「したらまた中3やれる気がするぜよー」
ぷぴーな!
弱くなった仁王が視界の端で騒ぐもんだから、ため息と一緒に何故か涙が出た。
助けて、ピーターパン
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