空を仰ぐように首を反らせた。
ぐぎり、ぽきり、なんて音。関節が鳴った。

「こわい」
「黙れ」

隣でカロリーなんちゃらを昼御飯がわりにしている仁王が漏らした。
お前の食生活の方が怖いわ。

「卵焼きちょーだい」
「誰が」

さっさと箸で突き刺してぱくり。
食べてしまえばこちらのものだ。



空になった弁当箱を片付けて、丸井からの貰い物の大きな飴玉を頬張る。
どんぐり飴みたいに真ん丸な飴を片頬に詰め込む。
つん、とそこを突っつかれて、その方向を向けば、

「俺にも」

仁王が、あー、と口をあけて待っていた。

「ない」

残念ながら食いしん坊丸井にもらったのはこのひとつだけだ。
カロリー不足ならば丸井本人を襲うコトをオススメする。
甘ったるくなった頬を癒してやるためにもう片方に飴をうつ、

ぶちゅ、

「うん、イチゴ味」

口のなかが空っぽになっていた。
甘ったるいのに空っぽになった。

ふと、仁王を見る。

リスよろしくぽこりと膨らんだ右頬。
銀色の頭にチョップを食らわせた。



どんぐり飴




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