「お疲れ様」
委員会のせいで待ち合わせの時間に間に合わなかった。
薄暗い教室で机に突っ伏している仁王は、気持ち良さそうに寝ていた。
最終下校は20時。
まだもう少し時間がある。
起こしてしまうのも忍びない。
つんつんと立った髪の先を、起こしてしまわない程度に軽く、ちょいちょいと弄る。
中学生最後の大会が近いのだそうだ。
お休みも、早上がりもなかなか、ない。
クラスが違ってしまったから、ぐっと会える時間が減ってしまったのは事実だ。
本当はね、今日だって寄り道しようって約束だったけどね。
本当はね、今度の土曜日にお祭りも一緒に行こうって話したけどね。
本当はね、花火大会も行きたいねって話したけどね。
なによりも、仁王が頑張ってるならそれでいいよね。
ちょっと寂しいけれど、テニスしている仁王が好きだよ。
優しい仁王が好きだよ。
我儘に頷いてくれる仁王が好きだよ。
だから、今はゆっくり
「おやすみ」
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