「好き」

心臓がきゅん、として、血液がどうやって流れてるかなんて分からないけれど、左手の小指がびりびりした。
遅れてどきどきどきどきしてくると、いろんなところで脈が取れそうだと思える。
きう、と手を握りしめた。

「こっち向いて?」

首を横に振るのが精一杯で、うまく顔をあげるコトもできない。
今、口を開いたら、情けない声を出して泣いてしまいそうだからだ。
そうか、泣くのか、と意識してしまうのが悪いようで、涙腺が緩んでじわり、とドライアイを潤した。

く、と顎を固定されて、ゆっくりゆっくり、仁王くんと目が合った。

時間が止まったくらい、心臓のどきどきも止まった。
ふ、と緩く笑った彼を見て、ぎりぎりだった涙がこぼれた。





きっと多分相当感覚論








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