先輩は痛がりで、臆病なだけだ。

そう思っていた。

下衆な話だが、そう、致そうとした時の拒否具合と言ったらなかった。
別に先輩を今までのやつらみたく扱うつもりはありませんよ、としっかりと告げたし、ただ好きだから、そう、致そうとした。
びっくりするくらいの拒否に、この俺でもさすがに心が折れた。
それが、

「処女じゃあなくなったら財前と一緒にいられないじゃない」

どう考えてもあの時の俺の言葉はきちんと届いていないのが、今分かった。
処女、バージン、その言葉に聞き覚えがない訳ではなかったし、どちらかと言えばそれに執着していた時もあった。
だけれど、それはきっぱりと否定をしたはずだし、なによりも先輩が好き。
慌ててそういっても、やっぱりダメダメなんて拒否された。

「一回で財前を失うくらいなら、死んでも私は財前が離れないようにするよ」

ぎょっとする他にやるべきコトはあるだろうか。
嬉しそうにそう言ってのべた先輩に、どうやって本当のコトだと理解させたらいいのか、思わず頭を抱えた。


刷り込み教育









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