真っ赤な紅葉が張り付いた頬っぺたを押さえながらきょとんとこちらを見ていた。
きちんと理解できなかったら、もう一枚紅葉を増やしているところだけど、合意の上。

「お前さん以外は、分かってくれんのよ」
「そうだね、」

それは理解しにくいコトだもの。
それこそ仁王には理解できないコトらしい。
この男、総じて女子は好きだとか言う。
ほら勘違いするじゃない。勘違いして綿毛みたいに舞い上がっていた彼女らに上から大雨を降らすのが仁王だ。
総じて女子は好きだという。
だけど、

「どれも好きじゃあダメなんじゃって」

どれもこれも好きで、どれもこれも区別なんてしない。
あ、例外もあるんじゃ、お前さんだけは別じゃよ。
そう言ってもらえたから、私はそれでよしとしよう。
いつか仁王の中で他の女の子と私が一色になってしまうまでは、こうして隔離されたみたいに別物として扱ってもらおう。
銀色の頭を撫でながら。

「ひとつを好きなんてもったいないのに」

人は浮気だ、と可哀想なものを見る目でこちらを見るけれど、それは合意の上だから構いやしない。
私はどれもこれも仁王なら、許せてしまうから質が悪い。


どれもこれもどれもみんな








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