女の子は大好きだ。(別に恋愛感情ではなく。)
笑うとふわっと明るくなる空気だとか、守ってあげたくなるオーラだとか、優しく触れないと壊れちゃいそうな華奢な体とか。

愛らしいの一言につきる。目の保養だ。

こんな性格をしているからか、小さな仕事を任されるコトが多い。
えぇ、可愛い女の子たちから頼られるのは気分がいい。
地道な作業はどちらかと言えば好きだし、全く問題がない。
ふと、顔半分くらい低い頭を撫でたくなってゆっくり撫でた時なんて、動物に癒されているようだった。

「で、雑用なう」
「うん、訳わからんな」

引き戸の入り口に背中をつけたまま、明日の会議の資料を作る私を見ている仁王。
は、一体何をしにきたのだろうか。

「パシられてるんか」
「断固否定。頼られてるの」

嫌みな子は嫌いだ。(いくら見た目が可愛くても、興味なし。)
だから、私がこうして作業するのは頑張っている子からの頼みだけだ。

「可愛い、ねぇ」
「仁王もそう思うでしょ?」
「女なんてみんな同じじゃ」

あいつの目は節穴だ。
目の前の私を見てもそんなコトが言えるのだろうか。
女子の中にいればとっても目立つこの身長は、男子と並ぶと違和感がない。
まるでサイズは男子なのだ。
これにどうやって可愛さを見つけろと。これだからモテる男は。
トントンと資料を揃えてホチキスを打った。

「仁王もいつか分かるようになるさ」

もう一度一番最初の資料に戻る。
1枚ずつ重ねて、揃えてホチキスを打った。

「俺は、」

ふ、と頭が重くなる。

「こっちのが可愛いと、思う」

ゆっくりゆっくり頭の上で何が滑る。頭を、撫でられている。らしい。

ようやく顔をあげた。
仁王が笑顔でこっちを見ていた。
カァッと顔に熱が集まっていく。

慣れていない。その一言につきる。

誰かに頭を撫でられるなんてコト、今まで起きたコトがなかったから、恥ずかしいし、こそばゆい。
真っ赤な顔になっているに違いない。
振りほどこうにも何故だか仁王は解放してくれなかった。

「俺は、お前さんのが可愛いと思うぜよ」

顔が熱いのをなんとかしたかった。


不慣れ








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