拗ねてる。
めちゃくちゃ拗ねてる。

「ごめんってば」

つーん。
真正面から謝っているのに思いっきり顔を逸らされた。
ブン太にポッキーを餌付けしていたところを見られてしまったのだ。
他意はないんだよ?
ただなんというかその授業中の仁王の様子はどうだとか気になっただけであって、そのごにょごにょ…。

そこまで言わせた癖に仁王の機嫌は直ってくれない。
俺がされたコトないのに!が言い分らしい。
そんなんいくらでもあるわ!と言い返してやりたかったが、ぐっと我慢した。

「ねぇ、仁王」
「…」
「ごめんって」
「…許さん」
「どうしたら許してくれるの?」
「…ちゅう」
「却下」

途端にプクーッと頬に空気を送り込んで、真ん丸な頬っぺたができた。
眉間にもきっちり皺が寄って、見れば分かるくらいに「不満です」。
ぱんぱんに膨れた頬っぺたがなんだか可愛くて指で思いっきり突っついた。
ブハッと溜めすぎた空気が爆発する。

「けほ…っ、な、なにすんじゃ!」

不意討ちはずるいなり!なんて憤慨する仁王を目の前に、一瞬完全に私の頭は固まった。

え、ちょ、今何が起こった?仁王が、可愛い?

かっちゃん、と頭の中でその事実が理解できると、可愛くて可愛くて堪らなくて、

「やだっ、仁王なにそれ…!可愛い!あははははは!」

笑いだしてしまった。お腹いたい!
ぷっくり頬っぺた膨らませた仁王も、思わず噴き出してしまった仁王も、噎せる仁王も、可愛すぎやしませんか!
ひーひー言いながら笑っていると、さらに不服そうな仁王がみえた。
あ、やばい。


不満です!(「ぜーったい許さん!」「あぁっ、ごめんってばー!」)










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