何度先生に怒られてもやめられない。
同学年はもちろん、何故だか下級生全員が私の噂を知っていた。
だから、
「先輩、甘いのくんしゃい」
こうやってお菓子をねだりにくるヤツがたまにいるのだ。
テニス部は食料に飢えているやつらばかりなのだろうか。
切原くんや丸井くんが昨日一昨日と既に私のお菓子を集りにきている。
なまじ顔見知りなのが悪いのだろうか、それとも初対面でお菓子をやってしまったのが悪いのだろうか。
何れにせよ、ブタとワカメになつかれた事実。
今度はこの銀色頭の仁王くんまでも手懐けるというのか。
「先輩」
「なにがいいのかな?チョコ?キャンディ?」
「一番甘いの、一番甘いのくんしゃい」
きちんと応えなさイ。
なにがいい、と主張しないからそのまま鞄を漁ろうとした。ら、
「一番、甘いのがいいですき」
その手を何故か掴まれて、身動きが取れない。
仕方なしに仁王くんを見上げた。
「一番甘いの、くんしゃい」
「一番甘いのってなに」
「これ」
どれ、なんて聞く暇は本当になかった。
あっという間にキスされた。
あ、キャンディ。
「甘いぜよー」
ご機嫌そうに目の前から去っていく仁王くんを少し恨んだ。
一番甘いの。
ハッピーハロウィン!!
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