(平凡中身非凡の攻めの部下視点)園崎


それは、若の部屋の掃除をしている最中の事だった。


「……部下、1人増やしたい」


ソファーでゴロゴロしている若の一言。
掃除をしている手が止まり、私を含め木下、葛西、山本、城島が若の元に集まった。


「なるべく有能で“藤”が付く名前の部下が欲しい。あと、できたら僕と同年代で、虎っぽい子。血の気は控えめの周りを冷静に見れる子がいいな」


若の希望に当てはまる様な奴に心当たりは無いかと木下達に目を配るがないみたいだ。
まぁ、有能とか周りを冷静に見れるようには躾たら出来るだろう。


「あー、暇だ暇だ」
「若、課題は?」
「あ、忘れてた。ありがとう」


……俺達部下4人はまた目を見合わせる。
これは若の暇つぶしであり、新たな部下は若の玩具になる確認。
それから迅速に動くべく木下と城島に若の目に叶うような人材探しを頼んだ。


そして翌日からテストの始まりである。
若が通う学校の“藤”が付く名前の者を若の前に突き出す。
だが所詮わけあり不良高、若が希望する有能そうで冷静な奴はなかなか現れず、藤本、藤木、藤井、藤は我々の手によって病院送りとなった。
残りは藤原と藤岡……どちらも外れたら他校から攫わなければならない。それは阻止したい。


「藤原はKグループの下っ端でテストは常に赤点か……無しだな」
「よし!藤岡だな!藤岡は……グループリーダーか」
「テストは藤原よりはマシだな」
「木下、グループに混ざって見極めてこい」
「えぇー俺が?!」
「お前はまだ20歳だし、老けてる高校生だと思えば無理ではない」
「頑張れ木下」


と、言うことで木下に見極めさせ若の前に出したわけだ。で、テストはギリギリ合格。数週間だけ混ざって共に過ごしてた所為か、木下も藤岡を気に入っていたみたいだ。

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数日後のある日、


「園崎、藤岡君の調教はどう?」
「木下が言うには順調だそうですよ」
「ふーん。明日、藤岡君に会わせて」
「?」
「ゲームセンターで藤岡君に取って欲しいぬいぐるみを見つけたんだ。今度はライオンと狼」
「……部下が欲しいと?」
「いいや。この2人は部下じゃなくて友達になりたいかな」


と、友達?!若に友達?!将来的に手を結んだ方がいいと判断されたのか?!あの不良高校の中でそんな生徒を見つけたのか?!


「……それと、恋人ほしいな。藤岡君を恋人にしようかなぁ」
「わ、わわわ、若?!こ、恋人?!」
「うん。見てると羨ましいなぁと思って」
「な、ならば私が!私が!恋人になります!」


うおおおお言ってしまった!頭や親父にバレたら首が飛ぶ!いや、若が良いと言ってないが、もし付き合ったら若を独り占めに!


「園崎は恋人と言うより家政夫さん、いや、お母さんだよ」
「なぬっ!」
「世話焼きは損するね」


そんな……俺が対象外だなんて…いや、諦めるのはまだ早い!若に好意を示せば!
堂々と男らしく!押し倒して!


「若!」
「おっ?」
「私は、ずっとお慕いしております……」


そのままそっと唇を重ね、離れては見つめた。


「珍しく強引だね、園崎」
「このくらいしないと意識をして頂けないかと」
「うーん、でも、押しが足りない。もっとグイグイ攻めないと」
「……」
「ほら、ベロチューくらいしてみろ」
「若、ベロチューって…そ、そこまでは、」
「…………ヘタレめ」
「あぁっ!若っ!」


若は私から抜け出して出て行ってしまう!
あぁ!私のバカ!でも、若の唇だけで興奮がっ!
ムッとした顔の若も可愛い!


「園崎が頑張らないと恋人作るから」
「わっ、若!それは、」
「僕をその気にさせてね。あ、親父には秘密にしといてあげるから」
「ありがたき幸せ!!」


若、私はきっと落としてみせます!
どこぞの馬の骨なんかより私の方がいいと思わせてみせます!
下っ端と若、男同士のダブル禁断の愛を育んでみせます!

.
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.


「おや?若、楽しい事でもあったのですか?」
「あのね、園崎をどんな豚に育てようか考えると楽しくて楽しくて。ふふふふ…少しは暇がなくなるよ」


園崎ぃぃい!逃げろぉぉぉお!!
と、葛西は心の中で叫んだとさ。

−終わり−


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