(平凡中身非凡の巻き込まれ視点)藤岡


あー………最悪だ。
久しぶりにトランプゲームで負けてしまった。
負けた罰ゲームでジュースおごりとか肩パンはよくするが平凡野郎に告白?ふざけんな。なんで俺の時だけクソな罰ゲームにすんだよ。

マジでふざけんな。他の罰ゲームにしろと言っても聞かず、連れこられたのは学校の校舎裏の花壇の花に水やりをしている奴に告白しろと。
こんなの、どこが面白いんだ。
さっさと終わらせてやる。


「おい」
「は、はい?僕ですか?」
「……俺と付き合え」


つか、誰だよこいつ。
見れば見るほど……マジで地味平凡。


「えっと……僕で、よろしければ」
「は?」
「お付き合いしましょう」


は?え?なにこいつ。
普通なら怯えて逃げるなり謝って逃げるなり金を寄越して逃げ出すだろ。
なにOKだしてんだよ。


「貴方は2年のFグループリーダーの藤岡様、ですよね?」
「!」
「実は、僕…貴方に興味というか、憧れていたので……僕は道端といいます。今後、よろしくお願いします」


おいおいおいおい。
クソ面倒臭い事になった。
ただの地味平凡じゃなかったか……よりによって俺に憧れてたとか様付け……悪い気はしないがこいつと付き合うってか。


「あの、藤岡様がよろしければ放課後デートしませんか?」
「はぁ?」
「烏滸がましいって解ってますし、罰ゲームですよね?罰ゲームでも藤岡様と付き合えるのなら、最初で最後の思い出を僕に下さい」


平凡地味が上目ずかいすんなクソキメェ。
殴り飛ばしてやりたいところだが……何故か出来ない。
ただの地味平凡のはずなのに、本能が手を出すなコイツは危険だと頭が警鐘を鳴らしてるから体が動かない。


「……チッ、好きにしろ」
「ありがとうございます。放課後楽しみにしてますね」


放課後にコイツと歩くだけだ。それだけやれば終わる。地味平凡の代わりにこの罰ゲームを提案したやつをぶっ飛ばそうそうしよう。

.
.
.

放課後、地味平凡は校門で待っていた。


「藤岡様、お待ちしておりました。行きましょう」
「あぁ」
「まずは、ゲームセンターなんてどうでしょう?」
「好きにしろ」


地味平凡は嬉しそうに笑い何故か俺の腕にしがみついた。
おい、好きにしろと言ったが馴れ馴れしく好きにしろとは言ってない。お前は女子か。地味平凡のくせに大胆だな。殴りたいが……やはりダメだった。本能が殴るな危険と言っていた。

ゲームセンターに着けばウロウロして地味平凡がUFOキャッチャーの虎のぬいぐるみに釘つけになっていた。簡単に取れそうだったので取ってやったら喜んだ。カーレースのゲームをしたら地味平凡は意外と強かった。家にゲームがあるとか無いとか。他のゲームもぼちぼちやった後は他の場所へ。

何故かペットショップだった。
地味平凡が飼い犬の餌と首輪を選んで買ってる間、俺は子犬を見てた。横に女がいたからナンパしようかと思ったが殺気を感じて止めた。殺気の先に振り向けば誰もいなかった……気のせいか?いや、背筋がゾッと冷える殺気だった。気のせいではないはず。誰かが俺を追ってるのか?考えてると買い物を終えた地味平凡に次に行こうと引っ張られた。

次はファミレスだった。
お互いパスタを食べた。地味平凡は感謝を述べてとても嬉しそうにしていた。食べ終わると帰るとの事。最後に少しだけ話したいとお願いされ公園のベンチに座った。


「藤岡様、本当にありがとうございました」
「別に」
「藤岡様って優しいと言うか、敏感なんですね」
「は?」
「いや、野生本能が鋭い。ですかね?」


なに言い出すんだコイツは。
確かに勘は良い方だと思うがそんなハッキリと言われたのは初めてだ。正直、今、多少嫌な予感はしてる。地味平凡が言う野生本能だ。


「僕、藤岡様が従順な部下になったら便利だと思うんですよ」
「……」
「園崎の殺気を感じて僕に手を出さなかったしナンパも止めましたよね?素晴らしいです。察知能力は合格点です。後は部下に鍛えてもらえば完璧ですね」
「お前、何言って、」
「貴方はゲームに勝ちました。僕の部下にしてあげましょう。そうだなぁ、木下が好きそうだから木下に鍛えてもらって下さい」


俺は動けなかった。
カチッと音が鳴ったのは俺に首輪が着けられたから。
そして茂みや影から5人現れ地味平凡の元に集う。


「道端組若頭の命によりお前を育てる木下だ」
「!」
「歓迎るぞ藤岡。キビキビ育ててやる」


最悪だ。トランプゲームに負けただけなのにどうしてこうなった。しかも罰ゲーム発案したのは目の前にいる木下だ。コイツ、俺を嵌めたな……だが、俺の下についていた時より覇気が違う。絶対に勝てない。

俺は何に巻き込まれたんだ。
何がなんだが解らぬ状態で木下に連れ攫われた。


「そうそう、この虎ちゃんありがとう。記念に大切にするね」


地味平凡のこと、若頭が笑顔でそう言ったのを最後に俺の意識は消えた。

−終わり−


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