(ワンコ後輩×強気溺愛先輩の攻？視点)後輩八重
やってしまった。
頭が真っ白になって、衝動的に、勢いで、風紀委員見回り時に所持する警棒で、思いっきり、力いっぱい、殴って、気絶させた。
だって、だってね、俺、ずっと、中学の頃から、ずっとね、先輩に憧れて、尊敬して、好きになって、ずっと、ずっとね、今日までね、苦しくて、嬉しくて、辛くて、悩んで、頑張って、慕って、好きで、たまらない、片思いをね、5年間、長く、できるだけ、そばに、嫌われないように、いたのに。
大好きな先輩にね、同性の恋人ができたんだって。
俺に1番に報告したかったんだって。
ねぇ、どうして？どうして俺じゃないの？同性なら俺でしょ？ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、嫌われない様に、好かれる様に、頑張ってたのに、酷いよ、酷いよ、先輩。
気絶した先輩をズルズル引きずって、部屋に閉じ込めて、手足を縄で縛った。
これで逃げられないよね、
部屋から出なくてすむね、
今まで通り先輩の洋服洗ったり、
部屋の掃除したり、
ご飯を作るからね、
これからはお風呂にも入れてあげるね、
排泄物も綺麗にしてあげるね、
生理現象も処理してあげるね、
何もかも俺に任せてね、
先輩。
俺は先輩の犬だから、犬なりにご奉仕もするよ。
だから、撫でで、ほめて、たくさん、今まで以上に、俺を使って、可愛がって。
……そうだ、恋人の存在が邪魔だね。
俺は悪くないのに俺を悪役にするんだよね。
ヒーロー気取りの恋人は消さなくちゃ。
俺は先輩が幸せなら片思いを諦める、なんてできないの。そんな甘くないの。優しくないの。独占したいのをずっとずっと我慢してたの。
先輩、恋人って誰？
俺の知ってる人？知らない人？
俺ね、先輩しか見てないからね、わからないの。
起きる気配が無いから自分で探さないとダメ？
見つけて隠せたら、ご褒美くれる？
俺だけの先輩に、なってくれる？
ずっとね、5年間、先輩が好きだった。
わかり易く好意を示していたのに。
本当にひどいよ、先輩。
もう、後戻りはできない。
｢先輩、先輩の恋人、消してくるね｣
警棒と縄だけでなくスタンガンも持って俺は部屋を出た。
.
.
.
おかしいな？
聞き込みをしても先輩の恋人やらが見つからない。
みんなして先輩の恋人はお前だろって俺を指す。
俺が先輩の恋人を消そうとしてるのを邪魔してるのかな？
明日こそ見つけよう。
今日は諦めて夕ご飯の材料を買って寮へ帰った。
今日の夕ご飯は先輩の大好きな揚げ物だよ。
それでね、恋人は誰か聞き出すの。
｢ただいま｣って部屋に入ると先輩の部屋の扉が開いていた。おかしいな？閉めて出て行った気がしたんだけど？荷物を置いて部屋の中を見たら解かれた縄だけがあった。
どうしよう……先輩が逃げちゃった。
キツく縄を縛ったはずなのに、何処に逃げたの？
先輩の友達の部屋？管理人さんの部屋？先生の部屋？俺、先輩を軟禁しようとしたから停学？退学？先輩と二度と会えなくなるの？そんなの嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！嫌だ！
先輩を見つけなくちゃ、見つけて、また、気絶させて、縛って、今度は歩けなくするの、足を切って、歩けなくするの！
部屋を出ようとしたらね、洗面所の扉が開いた。そこから先輩が現れて、
｢おかえり、八重｣
｢っ！先輩！｣
｢よくもやってくれたな、お仕置きだ｣
｢キャンっ！｣
警棒で殴られて俺は気絶した。
−先輩視点へ続く−
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