(幼馴染+クールオチビ攻視点)白凪由貴
俺は白凪由貴。
ある日、俺と付き合えとしつこくてウザイ奴に付き纏われるようになってしまった。
困った俺は考えを変えた。
これは運動派でおバカの幼馴染木幡こなたと付き合えるチャンスではないかと。
幼馴染の事が好きだと自覚したのは中学に入ってからで、自覚してからはなるべく触らず話さないようにしてた。
これは長年の片思いを進展させるチャンスだ。
幸い、俺には友達が少ない。
こなたに嫌われたら……その時はその時。
バカこなたの事だ、幼馴染の俺を嫌わない……と、思いたい。
「こなた、お願いがあるんだ」
「お願いってなぁに?俺に出来る事?」
「あぁ……俺の恋人のふりをしてほしい」
「?!」
おぉ、瞠目させて驚いてるな。
わけを話したら快く(悪い言い方だと軽返事)で恋人のふりをしてくれるそうだ。
変に気合を入れたりテンションを上げる遊びじゃないんだが解ってるのだろうか。
不安に思いながらも恋人のふりは明日からする事にした。
そして翌日。
「ゆうちゃんおはよー!おはようのチュー!」
は?!チュー?!
朝から抱きつかれたかと思えばチュー?!
こなた止めろ!朝から俺の頭に血を登らせるな、嬉しすぎて鼻血が出そうになるだろ!
…………落ち着け、俺。
「おはよう。キスはしなくていい。学校近くになったら手を繋ぐくらいでいいから」
「そうなの?」
そこはしょぼんって落ち込むところじゃないと思うんだが。
まぁ、でも、
「……したいならしてもいい」
「じゃあしちゃうー!」
抱きつかれて頬にチュッとキスをされた。
本当にするとは……あぁ、こんな軽いこなたの将来が不安だ。
恋人のふりとはいえ、朝からチューとかこの後は何するつもりなんだキス以上の事もしてくれるのか押し倒すぞバカこなた。
……落ち着け俺。バカこなたは単純なんだ。
無駄に恋人のふりに気合を入れてるおバカ様なんだ。
「怒ったの?ねーねー?謝るから許してー!」
「うるさい」
「もー!協力しないぞ!」
「……それは困る。俺は別に照れても怒ってもいない。だからいつも通りにしろ」
「うーん、りょーかーい」
協力が無ければウザイ奴を散らすどころか片思い進展作戦までおじゃんになってしまうではないか。
それは何としても阻止したい。
いつも通りこなたの話を半分聞きながら登校。
学校が近くなるとかなたから手を繋ぎだしてブンブン振られた。
こんのバカ!こっそり手を繋ぐだけでいいのに振るな!遠足を楽しみにしてるガキか!逆にこっちが恥ずかしい!それに運動バカの力が強くて腕と肩が痛む!
怒ったらしょぼんってまた落ち込んだ。
はぁ、そのまま落ち込んでいてくれ。
無駄に力を入れすぎるな。
下駄箱で靴を履き替えた後、とうとうウザイ奴が現れた。
「白凪!まさかっ、そいつが恋人というのか!」
「はい。そうです」
やっと恋人の出番だと言わんばかりにこなたを引っ張って腕を組んだ。
こなたの顔を見るとにやけてた。緩めるな、ちゃんと引き締めてくれ。
「こんなブサ、いや、フツメンが?白凪に不釣合だ!」
不釣合?俺とこなたが?
俺とこなたのこと全然知らないお前が何勝手に言ってるんだとキレる前に、こなたが口を開いた。
「俺、ゆうちゃんを楽々抱きあげれるよ!重たい荷物を代わりに持ってあげるし、えーとー、あ!ゆうちゃんの嫌いな食べ物を代わりに食べてあげれる!俺は馬鹿だけどゆうちゃんが頭いいから勉強を教えてもらえる!お互い足りないところを補っているのだ!」
ドヤァ!俺はゆうちゃんと不釣合じゃないぞ!
と、言いたげなドヤ顔のこなたに俺の怒りは何処かへ行ってしまった。
怒りよりも、バカワイイと思って笑ってしまう。
「ふははっ、そういうことだから諦めてくれ」
「ゆうちゃん?!なんで笑ったの?!俺、真剣に言ったよ?!」
「……認めない!君達、全然恋人に見えない!どうせ白凪が恋人のふりをしてくれと頼んだんだろ?」
な、なぜわかったんだ?!と、こなたの顔に顔に書いてる。こなたは素直なおバカちゃんだから嘘をついたり隠し事は苦手だ。
「ゆうちゃん、どうしようっバレてるよっ!」
「……バカこなた」
「はっ、やっぱり頼んでたんだな。白凪は俺と付き合う……」
まぁ、バレることは想定内。
こうなった時は、こたなの首に腕を回して引き寄せて顔を思いっきり近づる。
すると静まり返った周り。
何故なら、俺とこなたがキスをしている様に見えているから。
実際は俺とこなたはキスをしていない。触れるか触れないかの至近距離で寸止めしているから。
朝から男同士のキスなんか見たら固まるよな。まぁ、周りだけでなくこなたも固まってしまったけど。
ファーストキスは残しておいたぞ。俺はキスしたかったけどこなたが可哀想だからな。
「…………こなたとは恋人ですから。もう近寄らないでください。行くよ、こなた」
固まっているこなたを引っ張って教室へ向かう。
あーあ、朝から疲れた。
ウザイ奴の前でキスする振りは放課後にする予定だったのに。
まぁ、でも、ウザイ奴を散らせたと思うし、片思いを進展させる事は出来たと思う。
「こなた、ありがとう」
「!」
「だけど、悪いが多勢の生徒に見られた。バッシングを受けるだろうが、1ヶ月は恋人のふりを続けてほしい」
「い、いいよ!」
こなた……お前ってやつは、なんで嬉しそうに返事をするんだよ。
バッシングとか影口にお前は耐えられるのか?
俺はそこが心配だ。
「…………ごめん」
「謝らないで!頼れるのが俺だけなんでしょ!やる!ゆうちゃんの恋人やる!やらせて!」
「……恋人のふり、な」
必死になってやらせってと言うこなたはバカワイイ。
恋人のふりを続けてくれるなら近いうちに俺の片思いに終止符が打たれるだろう。
幼馴染のままか、恋人になれるか、幼馴染をやめて関係を持たなくなるか……
結果は俺の気持ちと行動力とこなた次第。
−終わり−
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[mokuji]
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