(主従同世代+俺様溺愛×おバカ従者の受視点)支江正志


今日も陽気で良い天気な放課後。
俺はまたもや体育館裏に呼び出された。
みんな体育館裏に呼ぶの好きだなぁ。

「平凡が宝条(ほうじょう)様にくっつくなよ!」
「お前と宝条様が並んでいいわけがないだろ!」
「宝条様の前から消えろ!」

わぁ、今日は3人も居る。
怒ってるし、早口で何言ってるか分かりずらいからもう少しゆっくり話してほしい。
3人とも宝条様って言ってるから宝条様に苦情があるのかな?
スケジュール帳を取り出して予定を確認。

「えーと、じゃあ6月2日の放課後に中庭のテラスに来て下さい。お茶会が開かれますので質疑応答の際に宝条様に話して下さい」
「は?」
「学年、クラス、名前を教えて下さい。特別ゲスト枠にご招待致します」
「は、はぁ……」

3人は渡したメモ帳に書いていく。
書き終わったら僕に返してくれた。

「って!違う!平凡のくせに何なんだよ!」
「いつも宝条様の隣を歩いて不釣り合いなんだよ!」
「宝条様に2度と近寄るな!」

うーん、また早口で困った。
聞き取れたのはへいぼん、つりあい、よるな。
うーん。は!そうか!

「釣りか!」
「え?!」
「少々お待ちを。もしもし宝条様。宝条様と釣りをしたいと仰る方が3名いまして……はい、はい、かしこまりました。…………来週の土曜日に船釣りになりましたのですいません、連絡先も教えて下さい」
「は、はい……」

手間を何度もすいません。
連絡先を書いてもらったらポケットに仕舞った。

「釣り好きな親衛隊の方もお誘いしますのでご了承ください」
「は、はぁ」
「最近釣りが流行りなんですか?釣りアポが多いので……旬なお魚が釣れるのですか?」
「あ、う、うん」
「宝条様は釣りに誘われる様になってから嬉しそうで釣り道具を揃えたり釣った魚を笑って見せてくれるのです。最近の趣味が釣りと言っても過言ではありません」

僕は船酔いが酷いから行けないけど写真で見せてくれたり魚拓を見せてくれたり焼き魚、刺身にして食べたとかお話はよく聞くようになった。

「……お前、何者なんだよ」

今度はゆっくりだったので聞き取れた!
僕が何者かって、そりゃあ、

「人間ですよ?あ!名刺渡しときますね!」
「名刺?!」
「予定のキャンセルの連絡は僕におかけ下さい。では、来週の土曜日とお茶会の2日。またご連絡させて頂きますね」
「…………」
「あ、次の予定がありますのでこれにて失礼します」

僕は暇ではありません。
この後は宝条様のお仕事の手伝いと呼び出しが1件残っています。
忙しい忙しい!

だって僕は、
宝条会長の親衛隊長であり将来の右腕でもあるのだから!

「支江(しえ)ただ今戻りました!頼まれた炭酸ソーダ(ボトル)買ってきました!」

デデーン!と自分の口で効果音を言いながら頼まれていた炭酸ソーダを出す。
水〇黄門のこの紋章が目に入らぬか!って、いうシーンを真似して。

「バカ!振るな!」
「すいません!」

怒られてしまいました。

「だから振るなバカ!置け!」
「はい!」

垂直に机の上に置きました!
コレなら振らずに済みますね!
流石宝条様です!

「ドンって強く置くな!ソッと置け!ソッと!」
「申し訳ございません!」

また怒られてしまいました。
今度はソッと、ゆっくりソッと……

「やり直さなくていい!……はぁ、座れ」
「はい」

宝条様の横に座り見上げていると宝条様の手が頭に乗り撫でられる。
怒られてしまいましたが、ちゃんと買ってきたご褒美だ。
僕はよしよしいい子なのだ。

「宝条様、今回の3名も宝条様に苦情があるそうなので特別ゲスト枠にご招待しましたが宜しかったですか?」
「またか。まぁ、来週の釣りで苦情は無くなると思うがいいだろう。次は何時に呼ばれている?」
「次はですね、6時半です」
「6時半だと?場所は?」
「体育倉庫です」
「ふーん。では、俺も行く」
「え?!宝条様も?!」
「風紀の奴も連れていく。お前1人では行かせない」
「でも、呼び出しには僕1人で来いと、」
「だったら行くな。俺と約束した門限は何時だ」
「5時半です!」
「呼び出しの時間は6時半。どっちの約束を優先さべきだ?」
「宝条様との約束です!」

宝条様が最優先!
宝条様が全てなのだ!

「ごめんなさい宝条様、門限を忘れた僕は悪い子です」
「そうか。帰ったらお仕置きだな」
「はい」

僕は宝条様とのお約束十ヶ条を読み直して覚えなければ。
高校生になってから呼び出しアポが増えてお約束十ヶ条があやふやで、スケジュール帳にメモしても僕の頭はパンパンで、馬鹿な僕は困るのだ。

「よし、風紀に連絡したし帰るぞ」
「もうお仕事は終わったのですか?」
「明日に回しても間に合うからな。今日はお前のお仕置きに時間を使う」
「っ、申し訳ございません。ありがとうございます」
「行くぞ」

宝条様が僕に時間を使って下さるなんて、嬉しいと思ってはいけないのに嬉しいと思ってしまう。
お仕置きされるのに僕は……

「エロイ顔をするな」
「えっ?!エロイカですか?!」
「……」
「どんなイカですか?今晩はイカ飯を頼みましょうか?食堂にイカ飯ってあるのでしょうか?」
「あー、うん、お前はこのままでいろ」
「?、はい」

今晩はお仕置きされてから特注のイカ飯を宝条様と食べました。とても美味しかったです。

−終わり−


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