(美形溺愛後輩×動物好きな平凡強気先輩の攻視点)後輩理央


今日は年上の恋人とデート!ルンルンワクワクでハッピー!天気も晴天デート日和だ!

いつも家を早めに出るのに待ち合わせに遅れてしまう俺。
だが!今日はいつものデートと違って、なんと!先輩は俺の家にお泊まりをしたのです!
だから待ち合わせをせずに一緒にお外のデートが出来る!つまり、待ち合わせに遅れて先輩を待たせずに不機嫌にさせる事も無い!素晴らしい!

「天響先輩っ!デート日和ですね!」
「は?外には出ないぞ」

え?こんなに晴天ハレバレなのに?洗濯物にお日様の匂いが付きそうなほど晴れてるのに?

「お前と歩いてると視線がウザイし、落ち着かん」

あぁ、そういう事か。確かにお外でデートすると必ず1回は女の人が話しかけてきて空気が台無しになるし先輩は超不機嫌になるし俺は奢らされる。だから誰にも邪魔されないお部屋デートが好きなんですね。俺も先輩に遠慮なくイチャラブ出来るお部屋デートが好きです。

だけども!今日は出かけるんだ!

「今回は大丈夫です!」
「は?なんで?」
「行く場所は動物園だから!」
「動物園?なんでまたそんな場所を」
「先輩、生のライオンとか熊とか見たいって昨日テレビ見ながら言ってたじゃないですか」
「そうだっけ?」

あ、先輩とぼけてる。
リアタイの動物番組を見つつ録画して後日また見るほど動物が好きなのに。
素直じゃないなぁ。

「そうですよ。行きましょ、動物園」
「でもな、」

なんで遠慮する?!
そんなに俺と歩くの嫌なのかな……だが、俺には秘密兵器がある!

「先輩、動物園」

正座をして、悲しげに上目遣いにお願いをする。
必殺・あざといワンコの訴えの構え。
犬好きな先輩は俺を犬っぽいと言う。
それを利用しての必殺技である。
目をウルウルさせてジッと見つめていれば先輩はとても甘くて優しいが故にゴリゴリ押しに弱い。

「わかった!行く!行くから!」
「やった!ありがとうございます!」

この通り、大抵は折れて俺の勝ち。
悔しそうな顔をした後、俺の笑顔で「まぁ、いっか」と言いたげに妥協して微笑んでくれる先輩も好き。

行く用意して動物園に向かう途中はなるべく女の人から逃げる様に移動する。バスは一番前、切符は二人で買って、電車の中も一番前。なるべく先輩からも話してもらえるように話す。いつも以上に女の子から俺達に話し掛ける余裕や切っ掛けを作らない。

動物園に着いたらカップルよりも家族連れが多かった。俺の狙いはコレだ。家族連れなら話し掛けられる事は無い。視線だって一瞬で済むだろうし先輩が動物を見るのに夢中になって視線なんか気にならなくなると思うから。
あ、カメラは持ってきてるよ。動物に夢中になってる可愛い先輩を撮らないわけがない。それに動物と一緒に撮ってあげたら喜ぶはずだから。

「理央、どっちから行く?右だと夜行生物の舘、左は狼で、あ、真っ直ぐ行けばペンギンだって!」
「その前に、喉が乾きましたからお茶買ってきます。自動販売機が近いのはペンギンの所ですね」
「俺、ペンギン見て待ってる!」

あぁ、俺の名前を権蔵じゃなくて理央って呼んでくれて、あんな子供みたいに生き生きとした可愛い先輩を見るのは何時ぶりだろうか!
普段なら俺がどっち?と聞くのに先輩から聞かれるなんて!カメラは連写機能で余裕です!
嬉しくてアイスまで買ってしまいました!

「先輩、ペンギンどうですか?」
「間近で水の中に飛び込むシーンを見れた!あ、アイス!」
「どうぞ」
「ありがとう。あ!水から上がってプルプルしてる!見たか、理央?!」
「はい、見ました。可愛いですね」
「おおっ、また飛び込んだ!」

ペンギンよりも先輩がとっても可愛いです。
普段の何十倍笑顔大サービスありがとうございます。

「回ったら帰りも見れると思いますから次へ行きましょうか」
「おう!パンフによれば次は……馬とか羊とかラクダが居るってさ!」
「ロバに餌やり体験出来るみたいですがしますか?」
「いい。アイス食べられたくない」
「それもそうですね」

想像してたより大きな馬やラクダ。フタコブラクダが居るがコブが垂れている。あのコブ、垂れるんだ。知らなかった。
楽しんでる先輩を楽しむはずが俺も動物を見て知らなかった事を知る。見回っていると時々先輩が動物のうんちくを話し出して珍しい。普段は俺が話してばっかりなのに、本当に動物が好きなんですね。動物に嫉妬しそうですから、その愛を僕に少し分けて下さい。

歩き回ってると先輩が見たかったライオンはガラスごしだったけれど「肉球デカイ!触りたい!デカイ!毛並み硬そう!つか、爆睡してるな!寝ててもかっこいい!」と、興奮して満足してた。狼も同様のような感想を言っていた。俺は可愛い先輩を何枚も撮ってた。

鳥のコーナーでは生まれたばかりのなべつるの雛鳥を見たくて隣の大鶴が見ようと必死に荒ぶってジャンプしたり鳴いたりしてて面白かった。梟は思っていたより大きくて腕に乗せたら折れると思った。肩に乗せても折れるんじゃないだろうかと思うサイズのデカさだった。

猿のコーナーに行こうとしたら止められた。
俺と相性が悪いだろうから行くなって言われました。なんでだろう?(ヒント・犬猿の仲)

動物園なのにアザラシが見れたりシロクマは暑そうにしてて影で寝ていたり熊は立ったら危機を感じるほどデカかった。虎は中が涼しいのか扉の側から離れずに中に入れてくれと訴えていた様に見えた。他にもぐるぐる回っていろんな動物を見て先輩も俺も凄く楽しんだ。

お土産コーナーで先輩は虎柄のボールペンと白熊の絵の物差しとライオンとラクダとペンギンの葉書を買っていた。実用的なお土産ですね。え、自分用なんですか?悪くありません。僕も自分用に何か買おうかな。先輩とおそろいの虎柄のボールペンを買いました。えへへ。

「先輩、楽しかったですか?」
「あぁ、凄く楽しかった。また来ような!」

先輩の笑顔に俺はキュンキュンメロメロ。
動物園に連れてきて良かった。

だが、油断は禁物。
疲れているが油断したら女の人に話しかけられ雰囲気ぶち壊し最悪な帰宅コースが有るからだ。

油断せずに帰ろう。
俺は気を引き締めて、先輩と動物園を出た。

−終わり−


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