(美形溺愛後輩×動物好きな平凡強気ら先輩の受視点)天響先輩


今日は年下の恋人とデートだが、俺は乗り気ではない。
男同士っていうのも有るが、恋人ではなく友人としてあいつと一緒に遊びに行くのも嫌だと思う。
あいつがしつこく俺と出掛けたい(デートをしたい)と言うから仕方なくだ、仕方なく。
俺が友達付き合いが乏しいとか苦手というわけではない。
あいつ(恋人)がテンションを下げる原因だ。

「先輩っ!待たせてごめんなさい!」
「10分遅刻だ」
「女に絡まれなかったら遅れなかったですよ」
「はぁ、映画行くぞ」

平井理央は俺の後輩で恋人。
要らぬオマケにイケメンで学園では王子(笑)と呼ばれてる。さらにオマケに女泣かせの残念なゲイだ。

「間に合いますかね?」
「直ぐに始まらないから大丈夫だろ」
「飲み物とポップコーンはどうします?」
「アイスコーヒーブラックとキャラメルポップコーン」
「わかりました!買ってきます!」

言わなくても遅刻したあいつの奢りだ。
買いに行く背中を見てるとレジに並んでいたあいつに女が話しかけるしチラチラ見てる女が多い。
これだからイケメンは……待ってる俺には女は誰も話しかけなければ見てもこないのに羨ましい。

「お待たせしました!行きましょう!」
「おう」

中に入ると観る時の注意事項と映画の宣伝が丁度終わり始まる所だった。
アクション映画を観るのに何故か手を握ってくる。
離そうとしても握りこまれて離れないし、あいつを見たら「手を繋がせて下さいよ御主人様、きゅーんっ」と悲しげに鳴くワンコに見えた。
座ってる席は上の方の隅だし、暗いから誰も見てないよな?このままにしてても大丈夫か。いや、ポップコーン食べたいから離せ!手を離せ!!

......................................................

手を握られていたから満足にポップコーンは食べれず、映画を観終わっても余ってしまって、あいつが服を見てる間に俺はムシャムシャ食べてた。うめぇうめぇ。

「先輩、こっちとこっちどっちがいいと思いますか?」
「どっちも却下」
「えー!」

本当はどっちも似合うからイケメンはムカつく。
無駄に細身でスらっとした服を着やがって無駄にイケメン主張を無駄に倍増させてどうするんだ。
ムカツクからポップコーンを食べる手が進むぜ。

「先輩はこっちとこっち、どっちが好きですか?」
「は?……白」
「白ですね!おそろいで買います!」
「ちょっ、おまっ」

待った無し。あいつはレジに持って行ってしまった。なんで犬プリントのシャツなんだ!もっとまともなのが有っただろ!そもそも何故シャツ?!おそろいにシャツチョイス?!しかもプリントの犬はブサかった!

「ネックレスかブレスレットのおそろいも買いましょう!」
「買わなくていい!」
「嫌、ですか?」

嫌ではないが、別れた時を思うと辛い。
いや、こいつは別れても便利だったり気に入った物だったら特に何も気にせず使うタイプか?!
俺は思い出したりするから封印か処分するタイプなんだが、

「先輩?」
「あと1つだけだぞ」
「はい!」

俺はこいつに甘いって自覚してる。
これだからイケメンは!しょぼん顔でもイケメン!無駄にキラキラ!笑顔だともっとキラキラ!!俺は弱い!犬か猫なら犬派だからな!!

「先輩っ先輩っ!」
「なんだ?」
「俺の名前、呼んで下さい」
「権蔵」
「誰ですか?!ごんぞうって誰?!」
「お前」
「俺は理央ですから!」
「権蔵」
「せーんーぱーいー!」

名前負けせずにイケメンってムカつくよな。
ムカつくからポップコーンを食べる手が、ってもう食べきって空だ。

「うー……天響(ティナ)先輩」
「その名を呼ぶな」
「ティナちゃーん!」
「帰るぞ権蔵」
「ごめんなさい!まだおそろいの買ってないから買ってからでお願いします!それと俺は理央です!」

アクセサリーが売ってる店に行き、あいつが見てる間に俺はトイレに行った。

トイレから出ると女達が俺に話しかけてきた。
あいつ狙いなんだろう、俺からOKを貰えればあいつといれると思ったのだろう。甘く見られたものだ。

「ごめん、俺とあいつゲイだから」

そう言ったら固まった女達。
俺は横切ってあいつの元へ行くとあいつはまた悩んでいた。よく悩むな。

「先輩、あの人達に何言われたんですか?」
「ズボンのチャックあいてますよって。親切な人達だった」
「えっ、先輩恥ずかし!」
「で、どれにするんだ?」
「んーと、こっちかこっちかで悩んでまして」
「俺、右の方が好き」
「店員さん!コレ2つ!今すぐ着けますのでタグを切って下さい!」

買って俺とあいつの首にはおそろいのネックレス。嬉しさでルンルンなあいつに注目度は上がり俺の不機嫌度も上がる。

「先輩、軽食は俺の好きなドーナツのお店でいいですか?」
「落ち着かんから持ち帰りな」
「……はい!」

あいつは俺が言いたい事がわかったのだろう。
またルンルンになって手を繋ごうとしてきたが払った。公共の場ではやめろと言ったのに学ばないやつだ。

お持ち帰りでドーナツを買ったらデパートを出た。

......................................................

こいつは一人暮らしだからこいつの家に帰ったら甘いドーナツが何倍も甘くなる。

「先輩、おまたせ」
「ブラックコーヒーだろうな?」
「コーヒーじゃなくてお茶です」
「コーヒーがいい」
「ダメですよ」
「理央、コーヒーがいい」
「あーもー卑怯です!あざといです!天響先輩好きー!」

2人っきりの時は理央って呼んでやるから俺の名前を呼ぶのを許す。
けど、抱きついてないで早くコーヒーを持ってきてくれ。早く食べたい。待たせないでくれ。

−終わり−


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