白雪 | ナノ
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「「もげーーーッ!!」」

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!もげちゃったよ、ちょっとォォォ!しっかりしてリボーンンンンン!!」
「ううう狼狽えるな沢田!落ち着け!ととととりあえず落ち着いてタイムマシンを探すんだ!」
「アンタが落ち着けェェェ!自分がこんなツッコミする日が来るなんて思わなかったよォォ!」
「誰だ!」
「「!」」

背後から声がした。驚きで綱吉の肩が数センチ上がる。
京都も今までゴミ箱に突っ込んでいた頭を起こし、声の主に顔を向けた。
扉の前には一人の青年が険しい表情で立っていた。目眩い金髪、鳶色の目、綺麗な高い鼻。一目で外国人と分かる男だ。
男は綱吉を見ると安心したように表情を和らげた。知り合いらしく、綱吉もあっと声を上げる。

「なんだ、ツナか…」
「ディーノさん!リボーンが!リボーンの手が!」

綱吉は半泣きの状態で未だリボーンの腕を持っている。
ディーノと呼ばれた男はそれを受け取ると、何ともないように胴体にくっつけた。
軽い音がして腕は胴体に収まる。この時点で京都は事態を大方察知できた。

「あーわかってる。これは人形だからな」
「!じゃあリボーンは!?」
「来てない…って言うより逃げたな」
「逃げたーーー!?」

ディーノの聞くところによると、リボーンが昼寝から目覚めた時には既にビアンキの機嫌は異常によかったらしい。
おそらくビアンキはリボーンの昼寝中にプロポーズしてきたのだろう。
コクコクと船を漕いでいるリボーンを、プロポーズを受け取ってくれたものと勘違いしたに違いない。

「リボーンが逃げたなんて知ったらビアンキ…!」
「ああ、ブチ切れて此処の人間皆殺しにしかねん…中止もまた然りだ…」
「今はこのカラクリに頼るしかない、という事か…」
「ああ…って、あれ?お前誰だ?」
「(今更!?)」
「あ!もしかしてお前、リボーンが言ってた白雪姫か!?」
「随分メルヘンな言い方だが…まぁ、そうだ。鳶尾京都だ、よろしく」
「俺はキャバッローネファミリーのボス、ディーノ。リボーンの元生徒で、ツナの兄弟子だ。よろしくな!」

人懐っこい笑みで手を差し出すディーノ。京都は真顔でその手を握った。
そして、忘れてはいけない重要な課題に綱吉も含む三人でとりかかるのだった。


――――――――――
―――――――
―――――

《それでは二人の結婚を祝して、カンパーイ!!》

披露宴が始まった。今のところ、リボーンが人形だと気付く者はいない。
皆が楽しそうに食事をする中、綱吉・京都・ディーノはハラハラしながらリボーン(カラクリ)を見詰めていた。
リモコンで遠隔操作をするディーノは、なるべく不自然なところが見えないよう慎重になっている。
しかし、

「しゃ…しゃななななななななななななななななななななな!!」
「!まずい…!」

飲み物を拒むリボーン(カラクリ)に、ビアンキが無理に飲ませたのだ。
カラクリに水分はご法度と言っていい。カタカタと音を立ててリボーン(カラクリ)は暴走気味な声を出した。
その異変に気付かない程ビアンキも馬鹿ではない。リボーンは何者かに隠されたと思い込み、何処からか機関銃を取り出した。
このままでは全員が血祭りに上げられる。危機を感じ取った京都達はビアンキに駆け寄った。

「びっビアンキ落ち着いて…!」
「何言ってんだよビアンキ!?ほら、リボーンだって!」
《ちゃおっス》
「リボーンとて人の子だ。緊張の一つや二つするだろうさ」
「緊張…!そうね私…リボーンの気持ちを無視していたわ、愛が足りなかった。許してリボーン」


――――――――――
―――――――
―――――

「ナイスフォローです鳶尾さん」
「一時はどうなるかと思ったわ…」
「まさか強引に飲ませるとはな。これならすぐに直せる」

真選組で土方とフォロー三昧の日々を送っていた頃に比べれば、このくらい雑作もない。
控え室に戻り三人揃って安堵の息を漏らした時、4人目の声が部屋に響いた。

「やっぱり偽物だったんスね」
「「「!」」」
「姉貴は騙せても俺は無理っスよ、俺聴覚はいいんです。モーター音がするので怪しいと思いまして」
「ご、獄寺…」

扉に凭れ掛かっていたのはビアンキの異母姉弟である獄寺。
普段どんなに姉を嫌っていても、結婚相手がカラクリでは流石に怒りを抱くだろう。
3人はそう思ったが、彼はその予想を覆す言葉を放った。

「俺にも協力させて下さい、十代目!」
「え゙!?」
「どーせ姉貴が勝手に式開いてリボーンさんが身代わりを置いて逃げたってとこじゃないスか?」
「流石弟、よく分かっている…」
「俺が来たからにはご安心を!貸せ!これは十代目の右腕の仕事だ!」
「お…おい、お前!」
「無理だ獄寺、あの何も見えんサングラスでやる気か?」
「うっせー鳶尾!こんくらい余裕だ!」

ディーノからリモコンをひったくる獄寺に、京都が止めに入るが全く聞く耳を持たない。
先が不安になってきた三人に更に追い討ちをかける人物が、控え室に顔を出した。

「それおもちゃかなー?おもちゃだなー」
「ランボ…またややこしい奴が…」

子供からすればラジコンに見えてもおかしくないカラクリのリボーン。
好奇心を擽られたランボは、リモコンを触りたくて獄寺に近寄っていく。当然足蹴にされるのだが。
前途多難のまま、お色直しは終了した。

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