白雪 | ナノ
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《お色直しが終わりましたのでケーキ入刀に移らせていただきます。因みにこのケーキは新婦が作られました》
「えっ!?」
《ケーキの二段目にはなんと新郎新婦が型どられています》

―ガチャ

「鳶尾さん!?やめて、バズーカ構えないで!どっから出したんですかソレ!?」
「このままでは全員あの劇物の餌食になる。何とかせねば《ちゃおっス》」
「んなーーーっ!」

綱吉は紫色の煙を放つ劇物ケーキを抹殺せんとする京都を抑える。が、それより先に止めるべき人物がいた。
ランボだ。どうやら獄寺からリモコンを奪い取るのに成功したらしい。
対ビアンキ用にサングラスをかけているため周りの物も見えない状態の獄寺は、今尚床を這ってリモコンを探している。
その所為でリボーン(カラクリ)はケーキに足から飛び込みズブズブとはまっていっている。
その異変に気付かない程ビアンキも馬鹿ではない。リボーン(カラクリ)の首を掴み、再び怒りのオーラを放ち始めた。
また機関銃を取り出しかねない。京都は状況打破のため、ランボにゆっくりと近寄った。

「…ランボ」
「!!……ぴっ…」
返せ
「ぐぴゃっ!ごめんなさいーーー!」
「ディーノ、急げ」
「ああ、任せろ!」

半泣きのランボからリモコンを受け取ると、京都は黙ってランボの頭に拳骨を一つ落とした。
京都はすぐさまディーノに手渡し、彼は素早くリモコンを動かした。

《…こ・れ・は・し・れ・ん…》
「試練!?」
「ビアンキ、お前は愛に生きる女なのだろう?リボーンはお前の愛の深さを試すために、こんな悪ふざけをしているんだ」
「そ…そーそー!そーだよ!」
「分かってたわリボーン!大丈夫よ!これぐらいの事、私達の愛の前では何でもないわ!」

リボーン(カラクリ)を抱き締めるビアンキを見て、三人揃ってホッと胸を撫で下ろした。
心臓に悪過ぎる。只でさえビアンキを見ると、新八の姉のお妙の影がちらついて怖くなるというのに。
破壊的な料理といいキレると男顔負けの鬼に豹変するところといい、我らが局長の思い人(ストーカー相手)のお妙にそっくりだ。
これ以上このミッションに付き合っていたら自分の寿命が縮みそうだ。そうなる前に、京都は策を打った。

「すまない沢田、少し廁に行ってくる。何かあったら呼ばないでくれ」
「呼ば“ないで”!?まさか逃げる気ですか!?嫌です、助けて下さいよ!」
「私だって自分が可愛いんだ。シャトルは離脱態勢に移ります」
「え、ちょっ、待って鳶尾さん!俺も一緒に乗せてーーー!」

綱吉の叫び声を背中に浴びながら京都は会場を離れた。
暫く化粧室に留まるつもりである。


   *  *


「全く、向こうでも此方でも騒がしさは変わらんな」

乱れていたスーツの襟元と髪を整え、京都は鏡に写る自分をぼんやりと眺めた。
伊達眼鏡を掛ける自分に違和感を感じる。何とはなしに京都はそれを取った。

「やっぱり京都ちゃんはそっちの方が可愛いです!」
「!」
「ほんと!それにどうしてドレスじゃなくてスーツなの!?」

突然聞こえた2つの高い声。振り返ると、化粧室の入り口に京子とハルが立っていた。
眉の端を少し上げ可愛い唇をヘの字に曲げているところを見ると、どうやら怒っているようだ。京都に対して。
訳が分からず呆然としていると、二人は何処からかブラシやヘアピンなどの化粧道具を取り出した。

「それで記念撮影なんて、ハル達許しません!せめてヘアスタイルだけでも可愛くなってもらいます!」
「ほら京都ちゃん!鏡の方向いて!」
「え、いや、ちょっと待て!私は…――」
「「問答無用!!」」
「おいィィィイイイ!?」


――――――――――
―――――――
―――――

「ビアンキさーん!お待たせしましたー!」
「記念撮影撮りましょー!」
「京子、ハル!何処に行ってたの…って京都!?貴方ひょっとして京都なの!?」
「ははっ!京都可愛いのな!」

殆どの者が驚いた。それ程京都は何時もと雰囲気が変わっていた。
伊達眼鏡は外され、顔はうっすらと化粧が施されている。
髪は高い位置で二つ括りにされ、ワックスを付けたのか、ふわふわになっている。
ビーズの髪留めが使われているので、時々照明の光が反射してキラキラ光る。

「やっぱり京都ちゃんキュートですー!」
「メイクした甲斐があるよねー!」
「……写真…撮るんだろ…?」
「はい!すぐ準備しますね!」

満足気に笑う二人を見送ると、京都はフラフラと綱吉達に近寄った。
何時の間に来たのか、リボーンは愉快そうに此方を見ている。

「だ、大丈夫ですか鳶尾さん?」
「女の子の力はすごいなぁと思いました」
「作文ンンン!?」
「おっ!銀魂流ツッコミだな!」
「真選組参謀をここまで弱らせるとは、京子とハルも侮れねーな」
「弱った大半はリボーン、お前の尻拭いの所為だぞ」
「だってだって、知らない内に結婚する事になってて、ボク嫌だったんだもん」
「急にキャラを変えるな。お前がボクとか気持ち悪い」
「みなさーん!準備できましたー!並んで下さーい!」
「京都ちゃんは私達と一緒にビアンキさんの横ね!こっちこっち!」
「あ、おい!」

腕を引かれ最前列に連れて行かれる京都を見て、リボーンはフッと口角を上げた。
同じ歳の女の子である京子達といる事で、年相応の表情をする事が増えている。これはいい傾向ではないだろうか?
そんな事を考えていたが、ビアンキに呼ばれた瞬間、こいつとの結婚の話をどうやってなかった事にするか考える事に頭は占領された。



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6話目にジューンブライドを書いたのは全くの偶然です。
結婚式なんてご馳走食べて記念写真撮った記憶しかない。ウェディングケーキでかかった気がする。

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