NPC暴走 行動6
ピコンッ、とまたメッセージの受信音が鳴り響く。これからどうしようかと考えていたスカルラットがウインドウを開くと、自分を此処まで逃してくれたアーロンからのメッセージだった。
『さっきはごめんね、あのままじゃ、例え回復できたとしても全員がPKされてしまっていたと思うから…。詳しい話は、会ってからします。合流しましょう。
私は今、アトランティスの自宅です。スカルラットさんからの返事を待って移動しようと思ってるので、しばらくは付近をうろつくことにするよ。君は今どこに?』
「ホントだよ…でも良かった…」
安心したようにほっと胸を撫で下ろすも、まだ少し安心しきれていない自分が居た。恐らくアーロンが自宅に居ると言う事は、あの後PKされてしまったと言う事だろう。PKされた後のログイン後は2時間ほど全てのステータスにマイナス補正が付いてしまうからだ。つまり、合流したとしてもすぐに海岸へ戻って影との再戦はほぼ不可能と言っても過言では無い。スカルラットはそれを考えながら、アーロンへの返信の為にメッセージを打つ。
『解りました、話は合流してから聞きます。
ぼくは今、アトランティスにある武器屋の前に居ます。
今のアーロンさんが動くより、ぼくが動いた方が良いと思うので、
ぼくがアーロンさんの家へ戻りますね』
誤字脱字が無いかを確認し、送信。そしてシェルルゥの方へと向き直る。
「ごめんなさい、シェルルゥさん。同行者の人が復活したみたいなので、ぼくはそっちの方へ合流しますね。もし其方の方に異常が無ければ海岸に行ってほしいんですけど…くれぐれも、お気を付けて」
「う、うん…そっちもね」
不安げなシェルルゥの言葉に頷き、一緒に居た二人に頭を下げてから、スカルラットは再び走り出した。目指すはアーロンの自宅。その途中でウインドウを開いたまま、フレンド一覧を出してシュトルツへとメッセージを送った。
『アーロンさんと連絡が取れたから、アーロンさんの所へ合流するね。
シュトルツさんも向かうと思うけど、PKされないように気を付けて』
手早く要件だけを入力して送った後、スカルラットはもと来た道を辿ってアーロンの自宅へと向かった。途中襲ってくるNPCは、何とか昏倒させて。走りっぱなしで疲れているであろう足を動かし、あの貯蔵庫のような家を目指した。