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NPC暴走 行動2

 
走る。兎に角東へ向かって。後ろから追いかけてくるNPCの足音に少し恐怖を覚えながらも、スカルラットは黒いローブを翻してひたすら走った。しかしその走る方向からも、NPCの姿が見えてくる。挟まれた、と仕方なしに足を止め、後方へと向き直った。やるしかない。

「《魔法:魔具精製》」

唱え、その手に赤の宝石が施された黒い弓を出現させる。そして迫ってくるNPCに向けて矢を構えた。

「《光魔法:光の矢》!」

矢を放つと同時に、それを追うように光で作られた矢が走る。放った矢はNPCの1人に当たり、光の方は空中で弾けて今まで追いかけてきていたNPC全員に雨のように降り注いだ。そして息吐く間も無くぐるんと回転し、前方から来ていたNPCへ今度は杖を向ける。

「《五色:獄炎の終日(ファイアーエレメンタリ)》!」

ボウッ、と杖の先に青白い炎が灯り、ブンッと力強く振るえば炎が放たれてNPCの周りを炎が包み込む。その隙に再び弓を構え、人数分の矢を放った。騒動と共に自動配付されたスキル《魔法:昏倒》を付与させた為、矢が命中したNPCはその場に倒れ込んだ。もう、追っ手は居ないだろう。辺りを見回して足音が聞こえてこないのを確認しホッと一息吐く。

「はぁ…なるべくMP使わないようにしないと…」

魔女であるスカルラットにとって、MP切れはとても深刻な問題になる。できれば禁忌法もなるべく使わずにいきたい。

「…兎に角、頑張るしかないか」

そう呟き、スカルラットは再び東へと走り出した。
 



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