NPC暴走 行動1
「NPCの…暴走?」
半透明の画面に表示された文字列を見ながら、黒いとんがり帽子と赤い髪が揺れる。その持ち主―スカルラットは険しい顔をしてから、画面を閉じて辺りを見回す。シン…と静まり返っているその場に少し安堵するも、いつ、何処から暴走しているNPCが出てくるか解らない。ゴクリ、と息を呑んで杖を握り締める。
「取り敢えず…だ、誰かと協力した方が、良いよね…?」
自分一人の力では、お世辞にも心強いとは言えない。素直に誰かの力を借りる方が得策だろう。取り敢えずは、この場から離れて他のプレイヤーを探す事を目標としようか。途中で誰にも会わなければ、友人である彼を訪ねる事にしよう。
「…大丈夫、かなぁ」
少し、いやだいぶ不安はあるものの、動かなければ。そう決心したスカルラットは、静かに歩き始めた。