異端者とは
いつの日からか‘異端者’と呼ばれる存在が産まれ始めた。
産まれた時から感情を一切もたない人間のことだ。
最初は『そんな病気なのだろう』という認識だった。
だが、いつしかそんな人間が産まれることが多くなり‥‥人々は不気味がった。
それはまるで、自分とは違う存在を見るような冷たい目でーーそう‘異端者’を見るような目で。
大人だろうが子供だろうが関係なく、先程の少年のように異端者は差別を受ける。
だが、異端者は何も言わない。感情がないから?
だが、あれほど殴られて、痛みは?
ーー痛みは、あるはずなのだ。
けれど、泣きも叫びもしない。
人間には二種類ある。
前述のように『異端者を差別する者』と、『異端者を差別しない者』の、単純な二種類。
いつか、あの人に質問したことがある。
『何故、貴方は異端者を差別しないのか』と。
そうしたらあの人は、
『だって、感情が無いだけで、異端者は別に害を与える存在ではない。それに‥‥オレ達は、同じ世界に生きて、同じ地に足をつけて歩いてる、同じ、人間だと思います。それに‥‥感情がひとつも無いとは思わない。彼らは、オレ達となんの変わりもないはず‥‥そう、思いませんか?』
そう、言っていた。