後書きB〜結末編〜
添付はエピローグ後のナエラと誰かさん。飛んでいるのは約束を果たしたジロウのバンダナ。


【結末について】

▼本題に入る前に、なくした設定を箇条書き

×リョウタロウとレーツを生き返らせる
×タイトとユウタが一緒に暮らしていくか、再会する
×メノアとレディルを魂みたいな形で登場させる

×マシュリもフェルサ同様記憶を喪わせる
×記憶を取り戻し、理性を取り戻したフェルサとハルミナの会話
×ジロウかハルミナ、ジロウかカトウをくっつける
×ジロウに真実を全て知らせる


……などなど。
では、本題に入ります。
散々、日記で悩んでいると書きましたが……
結末だけは当初からぼんやり頭にありました。

実は、何度か書きましたが、この作品は二部か三部で終了予定でした。
『abnormal』part1と同時期辺りに終える予定でした。

▼以下、『abnormal』part1の後書きより。


『ただ、いつもと同じなのは、最終的には誰かが帰って来る…
『三種の物語』ではクリュミケール、ロファースが帰って来て。
『脇役』ではジルクとリーネが帰って来て。

今回はディエが帰って来ました。

そしてそれぞれの作品では、誰かが帰って来て、しかし何かが失われています。この作品ではシャイが失われたのかもしれません。』


ーー……と言うのを書きましたが、実は『英雄!』の結末と比較させたくて書いてました。

『英雄!』ラストで確かに帰ってきました。確かに失われました。

根本的に違うのは帰ってきたのが『主人公』ではないこと。
失われたのが『主人公』であること。


いつもであれば、仲間たちとの再会を果たさせてあげよう!そんな気持ちで書いています。(脇役に関しては派生が未完なのでなんとも)
しかし今回は、『会えないまま』終わってしまったことが多く。

カトウは『テンマ』を待っていました。
ユウタは『ジロウ』を待っていました。

更には、ユウタは大人になり『タイト』『スケル』に会いたいと思いましたが、二人は来ませんでした。
スケルの生死は不明ですが、彼が最後に語ったように、もはや会える状態ではなかったのかもしれません。
タイトは最後までユウタを遠くから支える道を選びました。


結末はもちろん『ジロウ』が帰ってくる結末を書こうと思いました。
もしくは『ジロウ』と『テンマ』の二人で。

けれど、それではいつもと同じ結末でーー……
ましてや、主人公ジロウの願いは最初から最後まで『テンマを救うこと』でした。

だから、その願いを叶えることがこの作品の終結。

けれどテンマは最後の最後でジロウの声をようやく聞き、自分ではなくジロウを帰そうと願います。
自分は消滅していいから、ジロウを帰したいーー……そのせいで、長く永く眠り続けていました。
けれど、それは叶わず。
ジロウはテンマの中に還ってしまった。

目覚めたテンマの中に、ジロウが生きてきた記憶や思いは在る。
けれどもう、ジロウの意思は無い。

ナエラはそれを理解して、けれど『テンマのことも受け入れる』とジロウに約束した彼女は、テンマーー否、新たな人生を始めた彼の生涯を、ジロウが望んだ笑顔のままで見守り続けることでしょう。

そんな二人がどうなっていくかはわかりません。
ただ、今の段階ではそこに愛や恋はありません。ただ『約束』があっただけ。
あくまで、ナエラが好きになったのは『ジロウ』でした。
目覚めた彼も、ナエラのことは自分の中に溶け込んだジロウの記憶や思いを感じ取っているだけ。

目覚めた彼は、ジロウを思い、自分を最期まで想ってくれていたカトウを思い、最後まで憎んでしまったリョウタロウを思い、自らの過ちを受け止めーー……
ジロウの思いを受け継ぎ、未来を歩むでしょう。

テンマというのも偽りの名前のため、もしかすると目覚めた彼は新たな別の名前を名乗って生きていくかもしれません。

そうして日々の中で、ナエラと目覚めた彼はどんな言葉を交わし、お互いにどのような存在になっていくのか?

そこは想像の余地を残しつつ。

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