当てはまる言葉
優しいんじゃなくて面倒が嫌いなんだと彼女は笑った。
面倒が嫌いだから言葉や持ち出す感情を選んでいるんだと、そういう生き方が身に付いてしまったんだと平然と笑って言うから僕は苛立ちを感じた。
「なんで言葉にしないんだ?」
そう問いかけると彼女はきょとんとした表情になり、そしてまた直ぐに笑みを浮かべる。
笑える所じゃないだろ、笑う事じゃないだろ、そう言葉にすればするほど駄々っ子をあやそうとする様な笑みを浮かべる。
「皆が求めるのは都合のいい私だから、言葉にしたら白けちゃうでしょ?」
「そんな事は──」
「ではそんなキミに質問です。キミにとって私は何?
いい人、その前に付くカッコの中に当てはまる言葉を答えて下さい」
首を傾げる彼女の言葉に僕は考える。
考えて考えて考えて──そして浮かんだ言葉に僕は思わず口を手で覆った。
彼女は気付いていたんだ。心配するふりをしているようで、実は彼女を詰っていた僕に。
だからずっとそうやって何もかもを諦めたように笑っていたんだ。
2018.3.15
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