儘ならない
簡単に触れるのも好きって言えるのも性別が同じだからで、もし異性だったら違っていたんだろうなと考える。
そう考えると同性で良かったなって思うけれど、この恋が実る確率はないだろう。
となると同性である事が良いのか悪いのか、それを考えてしまう。
今は昔に比べればと言われる事もあるけれど、結局は相手の感情を考えるのだ。
相手の感情あってこその恋愛、相手の考えがあってこその――そして周囲の視線に耐えられるか、それだけの事。
けれども私のこの感情は、それだけの事がとても重いのだ。
(友情として好きとは言えるけれど恋愛の好きは言えない)
日差しが入るベッドの中でそう考えながら溜息を吐く。
最近は休みの日は無気力状態でいる事が多くて、そろそろ昼になるだろうに出る気は一切しない。
冬という季節は夏と違い活性しにくいなと思うけど、そろそろ喉が渇いてきたからコーヒーを淹れようかなんて考える。
さっきまで好きな相手の事で悩んでいたのに他のことを考えるのだから、私という人間はそういう者なのだろう。
散らかった思考の中で生きて、勝手に悩んで勝手に一喜一憂して表に出さぬも内心で忙しく動かす。
嗚呼、面倒くさい。
自分という人間が心底面倒くさくて、時々全部すっ飛ばして終わらせたくなる事がある。
全部っていうのは仕事とか普段生きている事とかそういう事。
それは大分乱暴な考えだけど、でもそういう考えになっても良いじゃないかと思う。
どうせ日々は患うものだし思い悩むものだ、だからたまにそういう極端な思考に行かないとモチベーションだって低下する一方だ。
“お母さんはそんな事を考える余裕、無かったわ”
その事を母に話したらそう返されたのを思い出し起き上がる気力が萎える。
ただ聞いてほしいだけなのに正論で返したり、自分の事に置き換える事もあるし一の事を十で返される時だってある。
そういう母だから――ああいけない、あまりこういう事を考えるとまた気持ちが低下する。
かといって楽しい事を考えたり音楽を聞こうという気分でもない。
「大体の事は儘ならない、そういうものだよ」
自分に言い聞かせるように呟けば私はようやくベッドから出て、珈琲を淹れにキッチンへ向かった。
2018.1.10
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