矛盾

 器用に生きられたらって思う事は何度だってある、それでも自分は自分でしかない。
 無理に背伸びをして生きても空回るだけだし、それに私は自分という人間を時々信用していて時々信用していない。
 しんどい事はしたくない、でも必要だからしんどい事をしなきゃいけない。
 楽な事だけしたい、でも楽だけしたらきっと経験できない何かがある。
 そういう風に色々と考えて考えて考えて、ああでも人間なのでやっぱり楽できるもんならしたいなぁと思うのだ。
「矛盾している気がする」
「矛盾しない人間っているの? 平和を願うのに戦争するような種族なのに」
「スケール大きい、そんな大規模なのと比べないで」
「言い出したのはキミだよ」
 向かいの席で紅茶を飲みながら微笑む友人に私は苦笑をする。
 この子は極端な発言をするけど話を終わらせたい訳じゃない、ただこういう言葉が出てくるだけだ。
 それに対しどう返すかを考えるのは楽しいし思考を回すのには丁度いい。
 まあたまに面倒くさいと思うけど、でもそういう面倒くささも含めて好きだ。

 矛盾していく世界でだって、こんな風に好きを見つける事ができる。
 楽しいけど面倒くさい、でもそういうの好きと感じられる幸せ。



2018.1.5
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