ルーシィと偶然、ぶつかった青い髪の男は緋色の髪の女のところへと行くと「まずいことになったぞ」と声をかけた。

「まずいこととは?」
「妖精の尻尾の女どもがいた」
「は?」
「ルーシィ・ハートフィリア。レビィ・マクガーデン。探せばもっといるかもな」
「…何でこうなる。ナツたちがいるのは仕方ないとして」
「自分らの彼氏の後でもつけてきたんじゃねーの?」
「いや、一応まだ付き合ってないのだが」

言いながらも緋色の髪の女――エルザは頭を抱える。
ことの起こりは前日の夕方――。

「ふう…」

ミラジェーンから雑誌を受け取ったエルザは若干憂鬱な気分でギルドを出る。
そのまま、寮に戻る気にもなれず、近くのチョコレートショップに行くことにした。

店に入り、ショコラセットとコーヒーを注文する。
届いたチョコとコーヒーを味わっていると、上から聞き覚えのある声がした。

「ケーキでなくチョコとコーヒーとは珍しいな」
「何を食べようが私の自由だ」

内心舌打ちしながら、その声に返答する。
顔を上げずとも誰だかわかる自分にもうんざりしながら「おまえこそ、こんなところにいるとは珍しいな。甘いものなんて好きじゃないくせに」と嫌味を交えながら聞く。

「ここのチョコとコーヒーは甘すぎなくてうまいからな。だから、おまえがいる方が意外だよ。ダイエットか?」

青い髪の評議員の男――ジークレインがからかいを含んだ声で質問してきた。



図星を突かれたエルザは思わず言葉に詰まる。事実だった。
体重が少々増えて、ダイエットをしようと試みていたのだ。だが、まったく甘いものをなしにするのは辛い。
そこでここのチョコレートを週に何度か食べることにした。
このチョコレートショップではカカオ豆の焙煎から始めていることもあり、体によくおいしいチョコレートが味わえると、評判なのだ。
だが、そのままジークレインに事情を説明する気にもなれず(言わずともばれているだろうが)氷のような声で対応する。

「デリカシーのないことばかり言うのなら、消えてもらおうか」
「そう、カリカリするなよ。ちょうどよかった。おまえに話があったんだ」
「話?」

勝手にエルザと同じテーブルについたジークレインは話し出す。

「この近くのクラブで魔法薬物の違法取引の情報がある」
「それで?」
「協力してもらいたい」
「なぜ、私が…」
「一人でうろうろしてると目立ちそうなんだよ。誰か連れがいないとな」
「なら、他をあたれ。評議員の誰かにな」
「いいのか?事情を知ったら、おまえも絶対参加するって言うはずだぞ」
「?何だ?それは」

急に小声になったジークレインの話に耳を傾ける。
その顔が徐々に険しくなって行き、話を聞き終わった後、エルザはクラブに同行することを約束した。








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