学校からの帰り道で、今日の出来事を友人のレビィに話していた。

「――番号教えてくれたってことは、電話かけてくれるの期待してるんじゃないかな?」
「…えー、そ、そーかな」

本が好きという趣味が合ったことで、すぐ仲良くなった二人。
恋愛のこと以外では他にも話せる友人は数名居るが、彼女だけに自分の気持ちを伝えている為、恋愛の話は二人で居る時にしかできなかった。
レビィは頷きながら答えてくれる。

「大丈夫!きっとそうだよ!」
「うーん、でもね」

スカートのポケットに入れていたアドレス帳を大事に鞄の中へしまっていると、レビィが続けて口を開いた。

「ドラグニルくんってさ、ルーちゃんのアドレス帳に男の子の名前ないのわかってホッとしてるよ」
「……でも、本当に気の毒だと思っただけかも」
「告白するなら、チャンスは今だよ!」
「…ぅ、あはは、そうだね」

告白の言葉に怯んだルーシィは、笑って誤魔化している。そのぎこちない笑顔に対して不満顔を見せるレビィ。
彼女が自宅に続く分かれ道で足を止めると、ルーシィの右肩を軽く叩き、笑って手を振ってくる。

「ルーちゃん、がんばってね。また明日」
「う、うん…また明日ね」

レビィの声援には上手く応えられなかったが、いつも真剣に相談に乗ってくれる彼女へとルーシィは感謝の想いで手を振った。





☆★☆★☆

「――って、言ったってね。毎日あんな状態で今更どんな顔して告白しろってゆうのよ…レビィちゃーん。ああ…もう」

ルーシィは自宅近くの公園でよく寄り道をする。そこで見掛けるようになった野良猫とも、頻繁にナツの話をしていた。
初めて見つけた時はどこかの飼い猫かと思っていたが、首輪をしていないことに気付き、野良猫なんだと判断したのだった。

「にゃーん…」

今日もまたブランコに乗っていると、猫の鳴き声が耳に届く。

「ハッピー!今日も聞いて、ナツったらね――」

足元に寄ってきたその仔猫に右手を伸ばした。
ハッピーと呼ばれている仔猫は、ルーシィに喉を撫でられると気持ち良さそうにして、甘えてくる。

「あたしはね、…なりゆきまかせでいいんだ。今日みたいな嬉しいハプニングがあったりするし、自分から聞いて知るのとは価値が違うもの…しかも直筆よ!」
「にゃーん」

興奮気味の彼女に返事をしているかのように、何度も鳴く仔猫を見つめて――

「うちで飼えたらな…」

そう呟き、仔猫に癒されながらアドレス帳を開いてナツの字を見ていた。
すると、段々頬が緩んできたことに気付く。

「ホントおっきい字よね、…ナツらしいけど。ふふっ」

彼にはあんな態度を取ってしまったが、内心本当は嬉しくて堪らなかった。
ルーシィは、彼が電話番号を書いている姿を思い出して、緩む頬を赤く染めたのだった。







前ページへ/次ページへ

戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -