オルトレマーレの星ひとつ
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ボンゴレリングがなぜないのか。それは砕いて捨てたからだという至極簡単、それでいて理解できない理由に頭をかかえる。
しかもそれをさせたのは十代目クンだというのだから驚きだ。
「つっても今じゃ俺たちもリングに頼ってる部分がでかいんだけどな。
お前たちにも教えてやる。野球と同じで特訓あるのみだ」
「野球バカ…」
「そういえば山本、野球は…?」
ドォンッ!
十代目くんの質問が全て終わらないうちに、目の前に爆風による土煙が舞い上がった。
その中から出てきたのは、私たちより少し年上くらいの少年少女。
もしや、と思い十代目クンを見れば、それはやはり10年後のランボとイーピンらしい。
「つーことは…」
一緒にいるのは、ハルと京子という同級生たちで間違いないだろう。まさかいきなりミルフィオーレとかち合うとは思っていなかったが、逃げてもまけないだろうしこれで雲雀恭弥探しが一時中断されるのならむしろ好都合だ。
靴に炎を灯し、それを動力源にして飛ぶ2人の男。
(…ん?)
やけに懐かしいような気がしたが、それも一瞬。あてられる殺気と冷たい視線に、最近戦っておらず鈍っていた体を奮い立たせた。
*
今の私の気持ちを聞いてほしい。
ミルフィオーレのブラックスペルとかいう連中との戦いが始まった。
リングをマモンチェーンから外した(私はリングを持っていないので関係ない)
ランボやイーピンと合流した
山本クンが水のバリアを作った。
十代目クンが京子ちゃんとやらを探しに行った
まあここまではどうでもいい。
「昴…!」
敵の1人のごつい方。そいつが私の名前を呼んだ。
「なんでお前がボンゴレにいやがる!」
「あ?!誰だよ!」
「お前はこっちのはずだろうが!」
「知るか!だから誰だっての!」
私にはあんなごつい知り合いはランチアくらいしかいない。
これ以上言うんならぶち込んでやると鎖鎌を手に取るが、その男は
「裏切るのか!」
とわけのわからないことを言って大きな炎をこちらにめがけて打ってきた。
慌てて受け身の体制をとるが、その前に山本クンがそれを受け流す。
爆風に押されたらしくうわっ!と後ろで十代目クンの声がした。それを男も聞いていたらしい。そちらに向かっていった。