オルトレマーレの星ひとつ
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結局ほとんど眠れないまま迎えた朝。体を伸ばすとバキバキと骨が鳴る音がする。あー、ダルい。
10年後の私の部屋のベットから出て床に足をつけ、10年後の私のスウェットを脱ぐ。制服を着ていつもと同じように鎖鎌を身につけて部屋を出れば、丁度昨日倒れていた女の人が部屋の前を横切った。たしか名前はラル・ミルチとか言っただろうか。
「ああ、起きたのか」
「…ども」
「リボーンや山本たちはもう集まっている。お前も早く行け」
それだけ言うと、返事も聞かずにさっさと行ってしまったラル・ミルチを見送りながら、ガシガシと頭を掻いて小さく唸った。あの人はいかないんだろうか。
(ま、あの人が何してようが私には関係ないか。)
*
「おはよ」
自動ドアが開くと、先ほど聞いた通り全員がすでに集まっている。
「ちゃおっす、昴。
おめー達、よく眠れたか?
いよいよ守護者を集めるミッションをスタートさせるぞ」
「…ああ。」
昨日聞いた10年後の私の話のせいで、他の話がすっぽり抜けていた。そうだ、そんなことを言っていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!まだ心の準備が…そ、それに…!」
うだうだと煩い十代目クンに、眉に皺が寄る。今更何を言ってるんだろうか。
「心の準備、してる間に全員死ぬかもね?」
「なっ!」
「そうだぞ、いつまでも京子達の心配したって始まんねーんだ。
守護者を集めることが最終的に京子達を守ることになるんだ。」
「!!」
意地悪く行った私の言葉に、リボーンも同調する。それでも尚不安そうな十代目クンに、獄寺クンが笑いかけた。
「大丈夫っすよ、十代目!」
笑顔で十代目クンを励ます獄寺クンを横目で見ながら、で?と呟き椅子に座る。
「最初は誰探すの?」
「ああ、それなんだけどな。
あれから山本と話し合ったんだが、最初に欲しい守護者は即戦力…つまりつえー奴だ。」
「ってことは…雲雀、恭弥……」
「ああ。…そんな嫌そうな顔をするなよ、昴。お前らの因縁もわかるが今大事なのはミルフィオーレに対抗できる戦力なんだからな。」
一つ唸って机に突っ伏す。くそっ…
しかし突っ伏したまま聞いていた会話の中に、聞き慣れた人物の名前が挙がったことで、ガバッと顔を上げた。
「バーズ…?」