オルトレマーレの星ひとつ
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まあこれを見ろ、と地上が映し出されたモニターを指差したリボーン。そのモニターには、確かに見たことがある場所が。
「並盛…?」
「ここって日本だったの?!」
「そーだぞ。そして過去に帰れない以上、ここで起こってることはお前たちの問題だぞ。」
ここで起こっていること?と首を傾げるが、直後に山本クンの口から出た「もちろんここでも、ボンゴレ狩りは進行中だ」という言葉に全てを理解する。
ボンゴレ狩りという単語から連想される意味と、先ほど十代目クンの説明の中にあったボンゴレのマークが入った棺桶。
それはつまり。
「てめぇ!」
ガッと音を立てたのは、獄寺クンが山本クンを殴った音。その意味を、彼も理解したからだろう。
「何してやがった!なんで十代目があんなことに!」
10年後の十代目クンは、もうとっくに死んでいるということを。
*
まだ突っかかろうとする獄寺クンを制し、リボーンは話を続ける。
「ミルフィオーレの恐ろしいところはもちろん戦闘力の高さだが、それよりもやべーのは目的がただ指輪を得るための勝利や制圧じゃないことだ。」
そんな彼らの目的は、ボンゴレの完全殲滅。過去からきた私たちだけではない、知り合いまでもが危険に晒される。
それを阻止する唯一の希望があると、リボーンは山本クンの方を見る。
「バラバラに散ったとはいえ、まだファミリーの守護者の死亡は確認されてねーんだな」
「ああ…」
「それならやることは一つだ。
お前たちは、散り散りになった6人の守護者を集めるんだ」
*
ベッドに横たわり、先ほど聞いた言葉を頭の中で繰り返す。拡大するボンゴレ狩りの中で、山本クンの父親が殺されたと聞き、私の中には確実にボンゴレ狩りの対象に入っているであろう2人の姿が浮かんだ。
『さっきの話で、クロームが行方不明とはいえ無事みたいなのはわかった。
…犬と、千種は?』
『…クロームと同じで死亡したって情報は入ってねえ。だが5年前から一切連絡が途絶えてるんだ。黒曜で消息が分かってるのは昴、お前だけだぞ』
「…チッ、10年後の私は、何をやってたんだ……」
どうして、10年後の私は犬や千種ではなくボンゴレと一緒にいたのか。
どうして、10年後の私は全てを知ったような口をきいていたのか。
そして
『10年後の辻井さん、身長は伸びてるはずなのに小さく見えたんだ…』
ぽつりと十代目クンが漏らしたその一言。
人の自信というのは、そのままその人をどう見せるかに繋がる。
例えば骸くんなんかがいい例だ。彼の誰にも負けないような自信は、彼の実力と同等、もしくはそれ以上に骸くんを大きく見せる。
もし、十代目クンの入ったことが事実ならば?
(10年後の私のくせに、情けない姿を晒すなよ…)
10年後の私は、何を考え何を選択したのか。
同じ私だというのに、その考えは全くわからなかった。