オルトレマーレの星ひとつ
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いつものボルサリーノ帽にスーツ。頭にはカメレオンを乗せたリボーンを見て、十代目クンの目が潤む。
「リ…リボーン!」
よろよろと歩み寄る十代目クンに
「抱きしめて〜
こっちよ!!」
背後からのリボーンの蹴りがヒットした。
*
「な、なんだよ!このふざけた再会は!!
こっちは死ぬ思いでお前を探してたんだぞ!」
頭を押さえながらわーわーと喚く十代目クンは、それでもリボーンが見つかって安堵したように笑った。
不安の中、あちこち探し回っていたのだろう。
「…んで、いつまで座り込んでんのさ」
ほら、と十代目クンに手を差し伸べてやれば、十代目クンは少し困惑しながらもその手をとる。そのまま手を離して落としてやろうと思っていたが、十代目クン越しに私の向かいに立っていた獄寺クンの顔が般若みたいで面白くてそれで満足したので、しっかりと立たせてやった。
「それにしても変な格好だね。なにそれ、リボーンの趣味?」
「んなわけねえだろ、俺の服はもっとダンディでかっこいいんだ。」
どうだか、と十代目クンの方を見れば、嘘をつけたでも言いたげだ。それじゃあなんでそんなもの着てるのさと尋ねると、どうやらこの環境に理由があるらしかった。
「しょーがねーだろ、このスーツを着てねーと体調最悪なんだ。
外のバリアも俺のために作らせたんだしな。」
「…バリア?」
「あ、そっか、辻井さんは知らないのか。」
なんでもこの建物の入り口に、何か物質を遮るバリアがあるらしい。さっき山本クンが抱えていた女の人もそれを超えた時倒れたんだとか。
「俺には厳しい世の中ってことだ。」
「そ、そーだ!おかしいんだよ!過去に戻れないんだ!」
「おかしいところはそれだけじゃねーぞ。
10年バズーカなのにこの時代は撃たれてから9年と10ヶ月ちょっとしか経ってねーんだ」
「え…?!」
「…それってそんなに大事?」
「あたりめーだろ、昴。本来なら10年単位で動くバズーカがちゃんと機能してないんだからな。その原因を突き止めねえと過去に帰ることもできないんだぞ。」
俺にもくわしいことはさっぱりだ、と付け足したリボーンに、十代目クンはショックを受けていた。まあいつも頼ってた先生にも頼れないとなると、十代目クンのショックにも共感出来るが。