オルトレマーレの星ひとつ
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ツナside
俺と獄寺くんが、ラル・ミルチと共にボンゴレのアジトに向かう途中でゴーラ・モスカ…ではなく、ストゥラオ・モスカに見つかった。
指につけられた銃口を向けられ、もうだめだ、そう思った時
ガキィィッ
何か刃物のようなものが打ち付けられる音と
ガァンッ!
鈍いものが当たる音
「鮫衝撃
こいつで1分は稼げるはずだぜ」
「…?!」
聞き覚えのある声と、見覚えのある2人。
「助っ人とーじょーっ」
「ちょ、武くん…1人で全部おいしいとこ持ってくのやめてよ!」
…えっ?
持っていたランチアさんのリングを、思わず地面に落としてしまった。
慌てて拾い上げてもう一度2人を見る。背は高くなってるし、雰囲気も少し違うが、男の人の方はすぐに誰かわかった。
「ま…まさかおまえ……」
「山本?!」
先程モスカに放った技は、ヴァリアーのスクアーロの技じゃ…と思ったが、今はそれどころではない。山本の隣の女の人をみれば、あちらも俺に気づいたらしくへらりと笑って手を振った。
…見覚えはあるんだけど、誰だっけ……?
「悪い冗談じゃねーよな…
門外顧問のとこの使者を迎えに来たらお前達までって…
…ん?でも縮んでねーか?
幻…?妖怪か?」
(やっぱりこの人山本だ!)
変わらない天然ぶりに苦笑すれば、後ろから女の人が山本の頭を叩いた。
「ばか。10年前の綱吉くん達でしょーが…」
「えっ?!」
「ああー、そっか!昔の!
あ…焦ったぜ…」
10年前の俺たちを知ってる…?
やっぱりあったことあるのか、と目を見開くと、隣で獄寺くんが
「おい、山本はともかく、誰だお前!」
と女の人に掴みかかる。
緩く結んである髪を揺らして、女の人はキョトンと目を丸めた。
「えー、忘れられちゃった?ひどいなぁ、隼人くん」
けらり、と笑って手を振りほどくと、俺と獄寺くん、それにラル・ミルチに向かって軽く一礼をした。
「見た目はちょっと違うかもしれないけど、お久しぶり。
それと、ラル・ミルチは初めまして。
六道骸の部下が一人、辻井昴だよ。」