オルトレマーレの星ひとつ | ナノ
オルトレマーレの星ひとつ
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ぺり、と包み紙を剥がしてガムを口に含む。
口の中に広がるイチゴ味のそれは、犬の部屋からこっそり持ち出したものだ。見つかったら多分喧嘩になるが、まあばれてないし大丈夫だろ。

並盛商店街、という文字を横目で見て、私はその先へと進んだ。



なぜ私が並盛にいるのか。それを話すには30分ほど時間を遡る。


ピリリリッ

いきなりかかってきた1本の電話。『山本武』と書かれた画面に、一度切ってやろうかと思ったが仕方ないので私は通話ボタンを押す。(余談だが、いつの間にかリボーンが守護者全員の連絡先を私の電話帳に入れていた)


「あ、昴か?!」

「うん。なにそんなに焦ってんの?」

走りながら電話してるのだろうか。風を切る音と運動している時特有の呼吸の仕方。止まって掛ければいいのに、と眉を顰めた。

「そっちに小僧きてないか?」

「リボーン?見てないけど…」

どうしたのさ、と聞けば、


小僧がいなくなった


そう、返ってきた。


なんでも10年バズーカにあたり、昨日から行方不明らしい。山本クンも先ほど知ったのだと焦る声で言った。で、こちらにも連絡が回ってきたと。
手伝ってくれ、と頼まれ、めんどくさいが並盛までやってきたというわけだ。


「って言ってもな…」

どこに行くかなんて私が知ってるわけがない。行動パターンも並盛の地も把握していない私はひたすらしらみつぶしに当たりを探すしか方法はなかった。

ここもいない、と喫茶店の店員に話を聞いて店から出たその時。


「っ!」


体が動かなくなった。金縛り、なんて表現が一番似合うかもしれない。
そして背後から何かが迫る感覚。


ドォンッ


爆発音と共にピンクの煙に包まれて、私の体は宙を浮く。


(これは、まさか)


10年バズーカに当たったのか?

そう頭の片隅では理解したが、目の前を包む真っ白な風景と浮遊感に、なにも考えられなくなった。

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