オルトレマーレの星ひとつ
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トントン、と階段を降りる音。お、そろそろ起きてきたか。
部屋に入ってきた十代目クンが最初にチビ達と戯れるランチ話を見て驚きの声をあげる。
「き、昨日はありがとう…ございました!
っていうかどーして…」
「その話は後でな。」
「ちなみに私もいるんだなー」
「辻井、さん…?!」
「なんでいるのって質問はなしね。そこの赤ん坊に無理やり連れてこられただけだから」
のんびりお茶を飲む赤ん坊に視線を送るが素知らぬ顔。ケッと悪態をついた。
「ツナも着替えなさいよ」
「でかけるぞ」
「え、でかけるってどこへ?」
首をかしげた十代目クン。私も知らない。これから家族で出かける用でもあったのなら私はさっさと退散したほうがいいか。
「ぱーちーだ」
「パーティー?」
どうやらそのパーティーは表向きはランボの退院祝い、実際はリング争奪戦のお祝いということらしい。
うん、私は関係ないな。
そう思って奈々さんにお世話になりました、と言って帰ろうとしたら、不思議な顔をされた。
「あら?昴ちゃんもパーティー行くんじゃないの?」
「えっ…」
「ああ、もちろんだぞ、ママン。ほら行くぞ」
「えー…」
これは昨夜と同じく断っても無理に連れてかれるパターンだろうか。
奈々さんのほうを見ればどうしたの?と聞かれた。
ええい、ままよ。美人に誘われたら断れない。
それにきっとクロームも来るだろうし。
「…場所は?」
「そういうと思ってたぞ。場所は山本の家だ。」
「私山本クンの家知らないんだけど…」
「そうだったな。フゥ太、案内してやれ」
リボーンの言葉に、肩がびくりと跳ねた小さい陰___________フゥ太。
「う、うん…」
チラチラとこちらを見ながら玄関に向かって歩くフゥ太について、私も家の外へと出た。
*
「山本クンの家ってどこらへん?」
「えっと、あっち…」
指差した方向は並盛商店街。あの中かと聞けば頷いたので、何かのお店をやってるのだろうか。
「もういいよ。無理に私といなくても。リボーンには上手く言っておくからさ。ランチアのとこ行きなよ。」
その言葉に驚いたようにこちらを見る目。分かってるよ、君が私を怖がってることくらい。
黒曜で骸くん達とボンゴレ宛に奇襲をしかけた時、ランキング能力に長けていたフゥ太を攫ったのは私だ。
むしろ怖がるなという方が無理な気がする。
「あ、あの…ぼ、僕…」
「じゃーねー。」
手を振って立ち去ろうとしたが、
「待って!」
その声に、足を止められた。