オルトレマーレの星ひとつ
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「おきろー!」
ドスッ
布団越しに何かが乗った感覚と、頬を叩かれる感覚。
また犬が変な起こし方をしてるのかと目を開けたら
「早く起きてランボさんと遊ぶんだもんね!」
変な子牛がいた。
*
ああ、雷の、とかろうじて寝ぼけた頭で理解する。いつまでも布団の上に乗る子牛をべりっと剥がして横にほおる。2.3度バウンドして転がっていった子牛は、それでも気にせずこちらにまとわりついてきた。
「あなたはだあれ?俺っちはランボ!」
何かの歌なのだろうか。尻尾のついた腰を振り、私に笑いかけてきた子牛。
「あー…私は昴…」
「よぉっし昴!じゃあこれからお前をランボさんの部下にしてあげるんだもんね!」
「えぇー…」
じゃあってなんだじゃあって。
いささか文脈の掴めない部下発言をした本人は、ガハハハ!と笑い私の手を引いた。
「昴!俺っちママンのご飯食べに行くんだもんね!」
昴も来い!と言われ、あまり乗り気ではなかったがお腹も空いたので布団から体を出してあとに続く。
「子牛、ママンとやらどこにいるの?」
「俺っち、ランボさんだもんね!」
「…あー、はいはい、ランボ。」
こっち!と相変わらず小さな子牛_____ランボに手を引かれるので、中腰になりながらママンとやらがいるダイニングを目指した。
*
「あら、あなたが昴ちゃんね!ゆっくりしていってちょうだい!」
「…は、はぁ……」
人の良さそうな笑みを浮かべたママン__奈々さん。
どうして、なんて言葉を一切話さず気軽に奈々さんって呼んでね!なんて言っていたのでお言葉に甘えさせてもらうことにする。
にしても美人だな、羨ましい…
とっくにランチアは起きていたようで、ランボも近くにいたチャイナっ子_イーピンとともにそちらに走っていったので奈々さんの朝食を食べる。
ふとランチア大きな背中の陰からこちらを伺う少年を見つけたが、あちらから干渉してこない限り私的には用はないので気にせずパンを頬張った。