オルトレマーレの星ひとつ
▼36
帰ってきてから千種と犬を叩き起こし、跳ね馬に聞いた話を教えれば、そんなことで起こすなと怒られた。
おまっ、仮にも九代目だぞ。私も興味ないけど。
意外に反応が薄かったため、私もベッドに入って寝ることにする。
*
とうとう最後の大空戦。
なんだかんだと普通に過ごしてたらすっかり日の暮れ、あと1時間というところでそういえば、と犬が口を開いた。
「じゃあ骸さんは、ボンゴレ九代目がアレに入ってるって知ってたんらな」
ああ、昨日の。どうでもいいと言いながらも、しっかり聞いていたらしい。
そういえば、霧戦の時のXANXUSと骸くんの会話。あれがたぶんそうだったんじゃないだろうか。よく聞いてなかったけど。
「…たぶん」
「で…骸様からは?」
「全く反応がないの…
そっぽ向いてるみたいに……」
「なんだそれ?!」
寝てるとか…?いやそれはないか。さすがに。
ギャーギャーとうるさい犬にクロームは律儀に謝ると、私行くね、とカバンの中からリングを取り出した。
「並中…?」
「うん。
招集されてるの」
いってらっしゃいと手を振れば、コクリと頷き出て行くクローム。
「で、犬。私たちもいく?」
「はぁ?!あんな女のために並中なんか行くわけないぴょん!」
「あっそ」
千種と視線を合わせれば、肩をすくめる千種。放っておけということだろうか。
「じゃ、私寝るね」
ソファーに座り、目を閉じる。まあ10分後にはソワソワとしだす犬を並中に連れてかなきゃいけないから、寝たふり、なんだけどね。
*
こっそりと校舎の陰から覗けば、守護者全員に毒が注入されてるところだった。
「うわっ、えげつない…」
地面に倒れる守護者たち。それはもちろんクロームも例外ではなく、苦しそうに息をつく。
女の子大切にしろよ!守護者唯一の女の子だぞ!紅一点だぞ!
とはさすがに言えないので心の中で留める。
XANXUSと十代目クンが戦闘始めたらしいが、ぶっちゃけ興味ない。早くクローム助けろ!
ふと、チェフベッロがこちらに視線を向けた。
「あなたたちもです」
「げっ」
「はんっ、犬の隠れ方下手くそだから気づかれてやんの」
「うるせえぴょん!」
促されるままに観客席に入る。
リボーン、コロネロ、Dr.シャマル…
(なんつー豪華な顔ぶれ)
跳ね馬は、いないようだが。残念ながら私にとってはこの場所はただのストレスしかない。あーほんと、緊張すんわー、なんて思いながら、手をポケットに突っ込みモニターを見た。