オルトレマーレの星ひとつ
▼37
「これこそが大空だ!」
XANXUSの撃った銃が、雷と嵐のポールをたおす。前髪長いやつとごついやつ(名前忘れた)がリングを手に入れ解毒された。
前髪が長い方は獄寺クンを放っておくようで、校舎から飛び降りると雨の対戦会場であった体育館に向かおうとした…が。
「確かにXANXUSも型破りな男だが、お前の守護者もただもんじゃねーはずだぞ。」
十代目クンへ向けてのリボーンの言葉。
どういうことかと聞き返す前に、前髪クンの持っていた嵐のリングがなにかにはじかれた。
「おまえは…」
「ふぅん、よくかわしたね。
君、天才なんだって?」
トンファーを構えるその姿は随分と見覚えのある出で立ちだった。
「雲雀…恭弥……」
どうやら自分でポールを倒して解毒したらしい。チェルベッロによれば野生の象ですら歩行不能になるらしいのに…あ、あいつも骸くんと同じで常識外れの人間なのか……
「束縛を嫌う奴の意地の力だ。
だからこそあいつは、何者にも捕らわれることなく、独自の立場からファミリーを守る孤高の浮き雲
そして本物の守護者達は使命だけでなく、関係性も天候に酷似しているんだぞ。
雲は時に他の天候の契機となり、嵐を巻き起こすことがある。」
「嵐、ってことは…」
「昴、するどいな。」
モニターで各守護者の居場所を見れば、ランボに襲いかかるごつい人に投げられたダイナマイト。
どうやら先ほど雲雀恭弥が弾いたリングは、獄寺クンへと届いたらしい。
「始めようか、天才くん」
「大空戦で余計な雑音はたてさせねぇ」
*
「千種から見て獄寺クンの実力はどーなのさ?」
ごつい人のパラボラを一斉に爆破した獄寺クン。隣にいた千種に絡めば、ため息が帰ってきた。
「…何で俺に聞くの……別に犬でもいいだろ…」
「私たちの中で獄寺クンにコテンパンにされたのはおまえだろ」
茶化すようにそういえば、額に青筋を浮かべた千種にコメカミをグリグリと押された。痛いですごめんなさい。
*
死ぬ気の零地点突破はどうやら成功したらしい。
「ぶっはっはっは!こいつぁケッサクだぁ!!」
あ、前言撤回。やっぱ失敗だったっぽい。
もともと死ぬ気の零地点突破とは、死ぬ気の逆の状態、まあつまりマイナスの状態になることで敵の炎を受けても吸収し、ダメージをなくす技だが、XANXUSの炎が大きすぎて十代目クンは吸収しきれていないらしい。
「つぎはうまく、やってみせる。」
十代目クンは、そう言うとまた構えた。
…どうやら、先ほどと違う構え方のようだが私にはわかる筈もなく。
というか、ぶっちゃけクロームが助かれば、どちらが勝とうが私は興味がないのだ。
まあそれでも、骸くんがわざわざ手を貸した十代目クンが勝たないと私は彼を許さないが。