オルトレマーレの星ひとつ
▼34
キーコ キーコ
錆びたブランコの鎖が不快な音を立てる。
2つあるブランコのうち一つに腰かければ、アルコバレーノも隣のブランコへ飛び乗った。
「用件さっさと言ってよ、アルコバレーノ」
「そういえばお前は城島たちと同じで俺のことをアルコバレーノって呼ぶんだな」
「なんで今その話なのさ…
別に、深い意味はないよ。私からすればあんたが犬と千種は苗字呼びなのに私だけ名前呼びなのが気になるね」
「其れも特に深い意味はねぇな。骸たちの呼び方が移っただけだ。
で、話を戻すが」
やっと連れ出された理由が聞ける。
ゴクリ、と緊迫した空気に唾を飲んだ。…が
「コロネロは名前呼びなのに俺だけアルコバレーノって呼ばれるのは癪だから、俺のことはリボーンって呼べ」
そっちか!
話を戻すってそっちのことか!
コロネロ…コロネロ…必死に記憶の糸を手繰れば、思い浮かぶのは昨日の霧戦。あのライフル使うアルコバレーノ…
名前なんて1回しか呼ばなかったのに、よく覚えてたな…
「…リボーン、早く用件言ってよ。」
暇じゃないんだよ。と付け足せば、隣の赤ん坊は満足そうな顔をした。
「んで、用件ってのはな。
お前、アルコバレーノのことをどこまで知ってる?」
「はぁ?」
なんで私がアルコバレーノについて詳しい前提で話が進んでいるのか。
「呪われた7人の赤ん坊、って事くらい。
なんの呪いにかけられてるか、っていう以前に、本当に呪われてるかも知らないけど。
それに、アルコバレーノの事なんて自分が一番よく分かってるんじゃないの?」
正直、アルコバレーノの事に関してなら骸くんの方が知ってる気がする。あの人情報網ハンパないから。
「…そうか。
昴なら、知ってると思ったんだがな」
「なんでだ」
「それは内緒だぞ。
連れ出して悪かったな」
ひょい、ブランコから飛び降りたリボーンは、私に手を振ると何処かへ行ってしまった。
…なんだったんだ、一体。
結局リボーンがなぜ私にそんな質問をしたのかは分からず、乗せる人のいなくなったブランコがまたキーコ、と揺れた