オルトレマーレの星ひとつ
▼29
「じゃあ、頼むよ。」
周りがうるさいが、どうやらクローム自身の《意思》を感じ取ったのか沢田綱吉はクロームを霧の守護者にすることを選んだ。
(…それに)
クロームだってそこにいる獄寺隼人や山本武のように沢田家光に選ばれたのだ。きっとそれに沢田綱吉も気づいているだろうが。
ドゴッ
ふと音のした方を振り向けば、頭を扉にぶつけながら赤ん坊が入ってきた。
首に掛かるおしゃぶり…こいつもアルコバレーノか。
コロネロ、と呼ばれたアルコバレーノが見据えたのは、向こうの霧の守護者。
どうやらあいつもアルコバレーノではないかと疑っているらしい。
まあ私には関係ないが
「よし、では円陣いくぞ!」
え、毎回円陣やってんのこいつら。
「いい。
いらないよ、そんなの」
断ったクロームは体育館の中央へ。まあそうだろうね。ほっと息をついた次の瞬間
「じゃあ代わりにお前だ!」
「うっそ?!」
なぜか私が笹川了平によって円陣の中に引き込まれた。
「クロームファイ!」
「「「オー!」」」
さすがに声は出さなかったが、この円陣の中にいるというだけでもかなり恥ずかしい。
…というか、笹川了平はなんとも思っていないのだろうか。
黒曜戦のとき、笹川了平を潰したのは私だ。
「昔やられた相手に随分と友好的だね」
皮肉混じりにそう言ってやれば
「………?
ああ、そんなこともあったな!」
全く気にしてなかったらしい。
というか忘れてたのかよ!
*
霧の守護者の特性を生かし、何もないだだっ広い体育館での試合。
赤外線完治レーザーのついた檻のようなものが上から落ちてきた。これが観客席らしい。
確かチェルベッロとかいう組織の瓜二つの女のうち、1人が口を開く
「それでは霧の対戦
マーモン
VS
クローム髑髏
勝負開始!!」