オルトレマーレの星ひとつ | ナノ
オルトレマーレの星ひとつ
▼28

日が落ち夜が更け、とうとうクロームの出番がやってきた。

「骸様…」

クロームはぽつりとそう呟くと、槍をぐっと握った。
不安なんだろう。自分の実力、骸くんの代わりというプレッシャー、何より、ボンゴレ側が快く歓迎するはずない。

「大丈夫だよ、クローム」

私たちがいる。
そんな意味合いを込めて頭を撫でてやる。うん、と帰ってきた返事に笑みをもらしながら、私たちは並盛中の体育館へと向かった。



「こっちの霧の守護者のおでましだぞ」

アルコバレーノの声が聞こえるのと同時に、犬が体育館の扉を開けた。
クロームの前に立ち中に入ってきた私たちに、向こうは驚きの声を上げる。

「なぜこんな時に!」

爆弾を構える獄寺隼人。それを諌めたアルコバレーノは、ボンゴレに事情を説明しだした。そんな気はしてたが、まだ言ってなかったのか。

「う、嘘だ…

…霧の守護者って……ろ


六道骸!」

違うんだなぁ、それが。
クロームの歩き出す気配に、サッと退いてやった。

「クフフフフ、クフフフフフフ

Lo nego (否)

Il mio nome e' Chrome (我が名はクローム)

Chrome 髑髏」

あ、今のクローム最高にかわいいかもしれない。




まあ当然というかなんというか、クロームを警戒する彼ら。特に獄寺隼人は武器や眼帯を指差し、骸くんの憑依だと声を張った。

「人を指差しちゃダメだって教わらなかったのか?」

「あ゛ぁ?!」

睨み合う私と獄寺隼人を気にせず、沢田綱吉は口を開いた。

「六道骸じゃ…ないよ……」

さすがはボンゴレ十代目、というところだろうか。それを彼に告げるのは超直感か、それとも…

獄寺隼人に詰め寄られ慌てる沢田綱吉に、クロームは

「かばってくれるんだ。

ありがと、ボス」

「ク、クローム?!」

チュッ、と頬にキスをした。

慌ててひっぺがせば単なる挨拶だとかなんとか。

「え、ちょ、消毒!犬消毒出して!クロームの口消毒するから!」

「んなもん持ってないぴょん!」

「千種!」

「…ない」

「ええー…」

ハンカチなんぞ持ってないので、袖でゴシゴシとクロームの口を擦る。あんなのにキスしちゃダメでしょ!ばい菌入るよ!
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