オルトレマーレの星ひとつ
▼27
「お前らおとなしくしてると
ただの嫌な感じの中学生だな」
数回の交戦の末ラムネを死守し、ゴクゴクと飲む私の隣でアルコバレーノは余計な一言を放つ。
「うっへー、嫌な感じはよけーら!
あんまなめてっと!
ど突くっつの!」
カチッとチャンネルを変えた犬の鼻にはツノ。サイだったかな、あれは。
そこまで興味もないので飲み終わったラムネからビー玉を出そうと瓶を振った。あれ、出ない。
「それは蓋を取るんだぞ」
「あ、そーなんだ…ってあれ、犬たちは?」
言われた通りに蓋を取ればあっさり出てきたビー玉。妙な達成感とともに辺りを見渡すが、一緒にいたはずの2人はどこかに消えている。
「お前がラムネ瓶に苦戦してる間に帰っちまったぞ」
「うげ、まじか…
んー、じゃあ私も帰ろうかな。クロームも直で黒曜ランドに向かうみたいだし。」
あ、それ運んでやろうか?と沢田綱吉を指差せば、頼むという返事が返ってきた。赤ん坊ではさすがに運ぶのは難しいだろうと思ったが、どうやらビンゴだったらしい。
「よっ…うわ、軽」
おぶってやれば、沢田綱吉の体重が背中にかかる。
私とそこまで身長が変わらないとはいえ、ここまで軽いのはただ単に私の体重が重いだけなのか、それともそこそこある私の腕力のせいなのか。
前者ならダイエットしようと考えた。
「どこ運べばいい?こいつの家?」
「いや、並盛中の体育館に運んでくれ。今日の会場はそこだからな」
「んー、了解」
ついでにアルコバレーノも肩に乗っけて並盛中へ。はたから見たらこれ結構シュールな図だよな。
*
「ここでいい?」
「ああ。適当でいいぞ」
「言われなくてもそうするっての。」
沢田綱吉を床に投げ、アルコバレーノも落とそうかと思ったが自分で降りてしまった。くそっ
「昴は1度黒曜に帰るんだろ?」
「そーするつもり。また夜にクロームたちとくるよ。」
「ああ。じゃあまた夜にな」
ひらりと手を振り体育館を出る。途中、沢田綱吉の手に先ほどのビー玉を握らせた。
いや、だってあれ処分に困ってたし